介護施設や老人ホームで暮らす高齢者の方々も、年末は落ち着きなく過ごされていましたが、お正月になると一転して落ち着かれます。
昨日までは目がつりあがって「何もしていないどうしよう!!」と焦っておられる方が居たのに、一夜明けると「いいお正月ですね」「お天気が良くて」「暖かくて」など、新年を心から慶ぶほのぼのとした空気感が漂います。
大掃除、餅つき、正月飾り、おせちの準備も終わり、年が明ければ「何もしない」という生活習慣が染みついておられます。
介護施設や老人ホームで暮らす高齢者の方、80代後半以上の方は、おおむね昭和中期のお正月をイメージされています。
つまり我々実年世代が幼少期だったころのお正月です。
おおむね童謡の「お正月」のように過ごしていたのではないでしょうか。
食べるものは、おせち、お雑煮、おもち、遊びは、すごろく、コマ回し、凧あげ、羽根つきなど、今となってはほぼ見かけることがなくなりました。
凧あげと言っても最近の凧は洋風の「カイト」と呼ばれるものが多く、昔なつかしい和凧は少数派になりました。
こんな風にお正月をのんびりとすごしてきた、遊んですごしてきた、という経験が身についておられます。
また、元旦はトラブルなく、ほがらかに、のんびりと過ごしたい、という願いを高齢者が共有しています。
一年の計は元旦にあり、はじめ良ければ終わり良し、など、元旦が重要であることを印象づけることわざも多く、今年一年を穏便に暮らしたいという願いを高齢者が共有しています。
そういうわけで、普段と違う空気感が漂い、にこやかに仲睦まじく過ごされる方が多い傾向があります。
施設を運営する立場からは、毎日このようなささやかな平和を共有できたら、過ごしやすい施設になるだろうなぁ、と感じる次第です。
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