50代、60代で転職を考えたとき、自動車運転免許証でできる仕事を探す方は多いと思います。
デイサービス、デイケアの送迎が真っ先に頭に浮かびます。
私の経験談を踏まえて、送迎ドライバーのお仕事を解説します。
この記事では「送迎業務での特異な事例Ⅱ」についてまとめてみました。
これらの事例は、この仕事を長くやっていると誰しもが経験しているようなことが多い反面、この仕事をしていない人から見ると驚くような特異な事例になりそうなものを選びました。
地域で最終的な受け皿のような立場の施設であると困難事例も多いようです。
困難事例の送迎は、それができる人に行ってもらうので過剰に恐れる必要はありません。
なお、送迎ドライバーの求人募集では、デイサービス(通所介護)とデイケア(通所リハビリテーション)の2種類の事業所がありますが、勤務条件が合えばその区別を意識する必要はないと思います。
この記事ではデイサービスとデイケアを総称して「デイ」と表現します。
点滴しながら送迎
男性の新規デイ利用者をお迎えに行きました。
送迎ドライバーではなく添乗員として乗車していました。
ご自宅に訪問すると、奥様と息子様夫婦がいらっしゃいました。
医師が来られていたそうで、点滴中でした。
ご家族に確認すると、医師の許可は出ているので連れて行ってほしい、と言われます。
高齢者のデイ利用には家族のレスパイトケアという側面もあります。
家庭での介護は想像以上に負担が大きいものです。
家族の負担軽減を目的としたデイ利用(レスパイトケア)もあります。
家族の負担状況を一番よく知っているのは担当のケアマネです。
ケアマネに確認すると、送迎車に乗車してデイ参加させてはしい、と言われました。
認知症によりご本人はあまり状況を把握しておられず、特に拒否もありませんでした。
大型ワゴン車の車いすスペースに車いすごと乗車いただきました。
その横に私が点滴棒を持って揺れや振動に細心の注意を払いながら添乗しました。
警察を呼ぶと騒がれた
奥様とご主人の二人暮らしの高齢者でした。
新規利用でご主人のお迎えに行くと奥様が大騒ぎされました。
「だれ?主人を連れて行くの?誘拐?だれかー、警察呼んでくださいー」と大声で叫ばれました。
アパートなのでご近所に丸聞こえだったと思いますが、だれ一人出てこられませんでした。
淡々と出発準備をして送迎者に誘導しました。
奥様はずっと騒いでおられますが、誰しもが見て見ぬふりです。
おそらくご近所にしてみればよくある光景なのでしょう。
施設に戻ってことの次第をケアマネに報告しました。
「えー、そんなことがあったのですか」と電話口の向こうで笑っておられました。
ケアマネからしても想定内の出来事だったようです。
車から放尿
大型のワゴン車で送迎をしていました。
車いすで階段を数段降りる方の迎えで、介助者とドライバーの二人が1分程度車を離れました。
ほんの短時間なので認知症の男性利用者を一人車に残していました。
迎えに行く利用者は車いすのまま乗車の方でした
ワゴン車の後部ドアを開け、車いす乗車用のリフトを降ろしていました。
1分後に車に戻ると雨でもないのにリフトが濡れています。
不思議に感じてあたりを見回すと、後部バンパーと道路も少し濡れていました。
どうやら認知症の男性が車内から後部ドアが開いている方向に向かって放尿したようでした。
ほんの1分程度でしたが、認知症の方を一人にすると何がおこるかわからないと改めて反省しました。
車が故障して足で漕いだ
かなり年式が古い軽自動車がありました。
車が出払っていてその車しかないときは、送迎に利用していました。
ある日、その車に乗って一人で送迎に出発すると、交差点の真ん中でエンジンが停止しました。
エンジンはうんともすんともいいません。
昔のミッション車ならセルモーターで動かせますが、AT車ではムリです。
交差点の真ん中なので車の移動は必要です。
とっさにハンドルを握ったままニュートラルにし、運転席のドアを開けて右足で漕ぎました。
交差点な真ん中から人力で移動して逃げ切りましたが、人生初の経験でした。
高齢者施設は時折かなり年式の古い車がありますので、気を付けてください。
まとめ
デイは利用者(要介護高齢者)の自立支援の一部です。
送迎が難しいからデイは利用できない、というわけにはいきません。
食事、入浴、服薬といった重要な日課が任されています。
さらに、引きこもり防止、社会性の維持などの効果もあります。
もし高齢者がデイに行かなければ、同居家族も仕事を休まななければならなくなります。
レスパイトケアの場合も、同居家族の負担が極端に大きくなります。
デイケア、デイサービスは、高齢者が地域で生活を続けるための重要なパートを担っているわけです。
デイの送迎業務も高齢者の生活を支えていますので特異な事例にも対応が必要です。
困難事例の送迎は、負担にならないように配慮されますので、過剰に恐れる必要はありません。
デイドライバーはプロとして誇りをもってできる仕事であることは間違いありません。
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