定年退職、早期退職などで、50代、60代の方が介護の仕事に転職を検討されるケースが増えています。
そういう方のために、私の経験を踏まえて情報提供ができればと思っています。
50代、60代の方は、後期高齢者(75才以上)と一緒に過ごしてきた体験があります。
後期高齢者が年末に何を思うか、それが理解できる強みがあります。
いまの後期高齢者の方は、昭和中期のお正月を過ごしてこられました。
その記憶が強く残っている方がほとんどです。
つまり、我々世代が幼少の頃のお正月のイメージをお持ちです。
テレビなどで年末の訪れを知ります。
まいにちゆったりと過ごしてきた高齢者にとっては寝耳に水の話です。
急に気ぜわしくなり「何かをしないといけない」と焦りはじめます。
それが思いもよらない行動につながります。
外出して帰れなくなる
いつも外出しない人がテレビの年末風景を見て急に思い立ちます。
「あ、忘れてた、何もお正月の準備ができていない、急いて支度をしないと!!」
頭の中は昭和中期に戻っています。
「いつもの市場に買い物に行こう、なじみの八百屋なら一通り用意してくれるだろう」
そう思って出かけると、街の様子が様変わりしています。
「買い物に行かなければならない」とあわてて外出して、自宅や施設に戻れなくなる、
こういうことが起こります。
転倒して骨折する
何かをしないといけないと焦って落ち着きが無くなります。
不必要に動き回り、足がもつれます。
そういう行動が転倒につながります。
正月飾りを出そうと、椅子の上に載ってふすまの上に手を伸ばす。
不慣れなことをして、足を踏み外して椅子から落ちて転倒する。
転倒すると大腿骨骨折、頭部の出血など大事故にもつながります。
これまで年末に救急車で救急病院に搬送された方を何人か見てきました。
精神的に不安定になる(もめ事を起こす)
「なにかお正月の準備をしないといけない」と言われて
「もうお正月の用意は何もしなくていいんですよ」と応えると
「じゃあ、誰がするの?いい加減なこと言わないで」という思考になります。
「適当なことを言って騙す人だ」と思い疑心暗鬼になります。
その結果、精神的に不安定になる方もあります。
すると普段温厚な方でも食って掛かるような精神状態になってしまいます。
相手に寄り添う形で接することで興奮状態を脱するようにしましょう。
まとめ
お正月の準備が大変で年末はゆっくりできないというこれまでの固定概念があります。
高齢者にとって、とりわけ認知症の高齢者にとって年末を迎えることは、大きな環境の変化にほかなりません。
年末に要介護高齢者に異変が起こりやすくなるのは、おおむねこのような理由ではないかと思われます。
メカニズムを理解することで事故防止を心がけましょう。
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