1981年(昭和56年)、大学生であった私は、某大学の工学部の研究室でパソコンを使用しました。
当時は工学部の同期が1000名以上いましたが、研究室でパソコンを使っていたのは、私と同じ研究チームの数名だけでした。
当時最先端であったパソコンの写真が残っていましたのでアップしました。
1981年ころのパソコン写真
発売当初の日立レベル3というパソコン(当時は「マイコン」と呼ぶことも…)で、WINDOWSはおろか、MS-DOSよりも以前です。
プログラムを作成して動かさなければ何一つできない機械です。
当時はゲームソフトもないので、文字とビープ音だけで低レベルのゲームを自作して遊んでいました。
外部記憶装置(カセットテープ:シーケンシャルアクセス)
写真にはありませんが、当初は作成したプログラムをカセットテープにSAVEしていました。
パソコンに接続して、テープを入れて録音状態にすると自動的に一時停止状態で待機します。
パソコンから「SAVE 〇〇」とプログラム名を入力すると、ポーズが解除されてプログラムが音声信号で録音されます。
プログラムを読み込むときは「LOAD 〇〇」と入力すると読み込みます。
ただし、プログラムを自分で探しに行ってはくれません。
読み込むときはテープの頭出しをして再生ボタンを押しておきます。
「どうぞここから読んでください」とばかりに準備対応が必要でした。
テープからの読み込みは遅いので、読み込みと計算の平衡処理が難しく、一つの実験に対して1本のプログラムが必要でした。
外部記憶装置(フロッピーディスク:ランダムアクセス)
5インチの外付けフロッピーディスクドライブが発売されました。
テープでの記憶方式では、頭出しを手動で行っていましたが、フロッピーディスクになるとファイル名を指定すると、パソコンがファイルを探してくれるようになりました。
今となっては当たり前ですが「ランダムアクセス」という概念を体感して、便利になった喜びとともに、技術の急激な進化に感激しました。
これによってデータベースをプログラムが読み込みに行くので、同じプログラムでも違う処理ができるようになりました。
プリンタ
プリンタはモノクロのドットインパクトプリンタです。
グラフィックなどの機能は無いので、プログラムを見直すためにプリントするためのものでした。
モニタ
一応はカラーモニタですがグラフィック機能はなく、文字やアスキーコードの図形をカラー表示するだけでした。
カラー表示で使用できる色は7色+黒の計8色でした。
まだ漢字は表示できません。
ネットワーク環境
ネットワーク環境はありません。
完全なスタンドアローンで単体ですべてを完結します。
インターネット以前のパソコン通信も無い時代です。
他の機器と共通仕様でつながるという概念すらなく、同じメーカーの専用機器を専用のインターフェイスで接続することが精いっぱいでした。
RAM
RAMは32kBでした。
今プライベートで使用しているパソコンは64GBなので当時の200万倍です。
これらのハードウエアの技術革新によって、これまでパソコンではできないことが次々とできるようになりました。
パソコンの黎明期
1980年初頭のパソコンはこのような状態でした。
パソコンは名実ともに計算機で、現代のように広く一般に仕事につかえるようになるとは思い難い状態でした。
プログラムを組む手間がかかる、漢字が表示できない、など、実用上の問題は山積されていました。
1982年に入社した時にパソコンを介して部門間のデータ交換を行うことを提案しましたが、理解されることなく却下(消極的な先送り)されました。
OA化の導入期は10年間
しばらくは部門別にまちまちにOA化が進んでいました。
パソコンの仕様もメーカーもまちまちで、個人でアップルコンピュータ(MAC)を職場に持ち込んでいる人もいました。
1990年代初頭までの紆余曲折を経て、1995年発売のWindows 95あたりからビジネスパソコンはWindows仕様に統一されました。
同時期にインターネット接続も普及しはじめました。
これまでの水面下での進化を経て、パソコンは人間が仕事で使えるものになりました。
10年後の2005年ころは、メールでの情報交換、ネットからの情報収集が活用段階に入っています。
つまり1995年から2005年にかけて、ビジネススタイルの大きな変化がありました。
AIも導入期から成長期へ
AIは最近出てきたものではなく、80年代からAI(人工知能)という言葉はあり、研究が積み重ねられてきました。
進化の過程で途絶えた技術もあり、それだけにいま生き残っているAIは強いと言えます。
昨今のAIは水面下での開発が一段落した時期と言え、パソコンやOA化の過程でいう1995年ころに相当するのではないかと思います。
マーケティング(プロダクトポートフォリオ)でいうところの導入期から成長期に移り始めています。
この時期から爆発的、加速度的に活用が進むと考えられます。
AIの導入スピードは急激
これまでハードウエアの進化スピードは、人が試行錯誤して創るスピードに依存してきました。
AIはネット上の情報を自己学習するので、AIの進化スピードはこれまでのパソコンの進化スピードと比較になりません。
そのスピードに世の中追随する形で変わっていくことが予測されます。
「AIの開発を遅らせるべき」という方向性も提唱されています。
少し減速したとして、仮にパソコンの進化スピードの10倍とすると、AIはパソコンの10年分の進化を1年で成し遂げます。
乗り遅れた企業は敗退しますので導入スピードの競争も激化し、1年後のビジネス環境は、いまとは全く違う風景かもしれません。
まとめ
市場の競争原理が働いて超スピードでAIが社会進出を果たします。
これからの変化スピードは、50代、60代の生身の人間が追随できるスピードではないかもしれません。
われわれ50代、60代世代はますます衰えることに備えて、準備すべき時期だと感じています。
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