令和3年版高齢社会白書、令和3年度「介護労働実態調査」結果の概要について、より高齢期の労働について考えました。
50代、60代の方の今後の職業生活のお役に立てればと思い記します。
高齢期で経済的に困っているか
内閣府が60歳以上の者を対象に行った調査では、経済的な意味で日々の暮らしについて「困っていない」(「困っていない」と「あまり困っていない」の計)と感じている人の割合は全体で63.6%となっています。
また、年齢階級別に見ると、70~74歳を除き、「困っていない」と回答した割合が6割を超えており、特に80歳以上では67.4%となっています。
この数字をマクロで見れば「過半数が困っていない」と見えるかもしれませんが、3~4割が困っている、と読むこともできます。
また、困っていない人将来に渡って困らないのか、リスクを抱えているのか、気になる点もあります。
参考 令和3年版 高齢化白書 第2節 高齢期の暮らしの動向 内閣府HPより
高齢期で働いているか
男女別、年齢階級別に就業状況を見ると、男性の場合、就業者の割合は、55~59歳で91.3%、60~64歳で82.6%、65~69歳で60.0%となっており、60歳を過ぎても、多くの人が就業しています。
また、女性の就業者の割合は、55~59歳で72.8%、60~64歳で59.7%、65~69歳で39.9%となっています。
さらに、70~74歳の男性の就業者の割合は41.3%、女性の就業者の割合は24.7%となっています。
この数字を前項と合わせてみると、60歳以降も「困っていない」と言いながら「働いている」と言えます。
逆に言えば、働いていないと経済的に困る、という傾向もあると思われます。
参考 令和3年版 高齢化白書 第2節 高齢期の暮らしの動向 内閣府HPより
高齢期でいつまで働くか
現在収入のある仕事をしている60歳以上の者の約4割が「働けるうちはいつまでも」働きたいと回答しています。
70歳くらいまでもしくはそれ以上との回答と合計すれば、約9割が高齢期にも高い就業意欲を持っている様子がうかがえます。
これは「働かないと生活が成り立たない」という切羽詰まった状況があるとともに、「働かないと老い衰える」という健康志向も関係していると思われます。
参考 令和3年版 高齢化白書 第2節 高齢期の暮らしの動向 内閣府HPより
65 歳以上の労働者を雇用する介護事業所
7 割弱の事業所で 65 歳以上の労働者を雇用 65 歳以上の労働者(有期職員、無期職員)が「いる」と回答した事業所は 68.0%(前年 72.6%)で、「いない」は 30.6%(前年 26.2%)であった。
また、勤務する職種別に 65 歳以上労働者数がいる事業所の割合をみると、「介護職員」に高齢者がいる事業所の割合が最も高く 45.2% でした。
参考 令和3年度「介護労働実態調査」結果の概要について 公益財団法人 介護労働安定センターHPより
他産業(介護・福祉・医療関係以外の仕事)からの人材流入
この項目は高齢期に限ったデータではないのですが、学校卒業後、収入を伴う仕事をしていたかをたずねたところ、「前職あり」が 75.7%(昨年度 78.3%)でした。
「前職あり」の方にこれまで経験した仕事内容(直前と限らない)を尋ねたところ(複数回答)、「介護・福祉・医療関係以外の仕事」が 63.1%(62.1%)で最も高く、他産業から介護業界へ人材が流入していることがうかがわれます。
これらの数字から、介護労働者の約半数は他産業から流入と言えます。
参考 令和3年度「介護労働実態調査」結果の概要について 公益財団法人 介護労働安定センターHPより
まとめ
私はこのブログを通じて、、50代、60代の方が介護職に転職することくをお勧めしています。
60才以上の年代において、職業をもって働いている方が多く、経済的な不安が無い方も過半数おられます。
これらの方は、職業を通じて一定の収入が継続的にあることが前提になっていると思われます。
9割以上の方が70才くらい以上まで働きたいと考えておられます。
一方、介護業界は7割の事業所に65才以上の方がおられます。
介護職の約半数は他産業(他職種)からの流入です。
これらの状況を考え合わせると、50代、60代の方が介護職に転職することは、業界にとってはよくある現象です。
転職する本人にとっても心地よく働く環境があるということと考えられます。
「先んずれば人を制す」という格言も視野に検討ください。
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