50代、60代の実年世代で定年退職や早期退職などで介護業界に転職し、管理職を目指される方に向けて「老人ホーム施設長(ホーム長)の仕事」をいくつかの記事に分けて解説いたします。
施設長(ホーム長)の役割は、成果を出すための組織作り、ということに集約されます。
この役割を果たすために、施設長(ホーム長)が重視すべき課題がいくつかあります。
大きく分けるとその対象は、顧客満足、従業員満足、経営満足、の3点です。
利用者を大切にする、スタッフの力を最大限引き出す、経営改善に寄与する、などの施策を繰り返すことになります。
なお、この記事では「老人ホーム」という一般的な呼称で「介護付き有料老人ホーム」、「住宅型有料老人ホーム」、「サービス付き高齢者向け住宅」、「特別養護老人ホーム」を含むものとします。
それぞれの業態に共通する事項を扱うようにいたしますが、一部の業態や役割分担によっては対象外になることもあるかもしれませんので、あらかじめご了承をお願いいたします。
ここでは、地域の社会資源としての老人ホームのありようについて触れます。
地域との共生
介護施設はその業態にかかわらず、地域の社会資源であることは間違いありません。
日本人は農耕民族で地域とのつながりを大切にしてきた文化が根付いています。
大半の高齢者ができる限り自宅で過ごしたい、施設に入るにしても住み慣れた地域で住み続けたいと願っています。
そんな地域の方々の願いを実現するのが、訪問、通所、入所などの業態を問わず、地域にある介護施設です。
たとえば、地域包括支援センターは、日常生活圏域(=中学校区)を踏まえながら設定されています。
地域の社会資源として機能するよう配置されています。
介護事業は地域生活を支えています。
地域のニーズ
介護施設は地域の期待を担っています。
介護施設の機能への期待
介護が必要になったら、老々介護、独居老人、在宅介護になったら助けてほしい。
障害や認知症が当ても生活ができるようにしてほしい。
虐待やDV被害にあった人の緊急避難を受け入れてほしい。
働く場所としての期待
生活を支えるため地域で長く働きたい。
失業した場合、地域に働ける場がほしい。
地域交流のハブとしての期待
地域と一緒に施設のありようを考えてほしい。
施設の一部を地域交流に使わせてほしい。
次世代(子女)の社会体験などで介護を教えてほしい。
リタイヤ後の社会とのつながりの場であってほしい。
自分たちの将来、親の介護についても一緒に考えてほしい。
施設からの情報発信
まずは施設からの情報発信が有効です。
地域住民にとって、その施設がどのような理念で運営されているのか、どのような役割を担ってくれるのか、何もわからない状態からのスタートです。
施設前に施設の案内やニュースを掲示する、人材募集、人材募集、ボランティア募集など、施設から何らかの情報発信をすることで、地域に情報を発信します。
また、インスタグラム、ツイッターなどのSNSも併用して情報発信をします。
これによって地域からの反応があれば、地域とのコミュニケーションの機会につながります。
地域に向けたイベント
地域の方が施設に来る、建物に出入りできる機会をつくることも大切です。
施設でバザー、夏祭りなどのイベントを開催すれば、お子様とともに親世代の来場も見込めます。
地域の小学校にお知らせするなど、集客にも力を入れましょう。
また、地域包括支援センターや居宅介護事業所にも声をかけて案内します。
一度足を運ぶと施設の存在が身近に感じられ、施設の活用や施設への期待の声も直に入ってくるようになります。
まとめ
地域で良い印象が根付けば、利用希望者も就業希望者も増加します。
介護施設が地域の社会資源であることを認識して、その役割を果たそうと努力することが大切です。
施設が地域で孤立していては、利用者も就業希望者も低迷することでしょう。
地域と介護施設はWIN-WINの関係で成り立ちます。
地域とのコミュニケーションを強く意識した運営が大切です。
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