販売企画経験者(50代、60代で転職)介護未経験で施設長応募⑰

これまでの経験が活かせる
国鉄バス第1号車(リニア・鉄道館)

50代、60代の実年世代で定年退職や早期退職などで介護業界に転職し、管理職を目指される方に向けてこれまでの実務経験の活かし方を記します。

他業種からの転身でも、販売企画担当経験があれば、その経験は生かせます。


しっかりと説明する

おそらく募集している施設で、現場に即した導入研修もあろうことと思いますが、介護事業に関する勉強は継続してください。

なお、有料老人ホームの施設長は、管理者、ホーム長などと呼ばれるケースもあります。

現実には細部で違いがありますが、ここでは便宜上、同じ職種としてまとめて、呼称は「施設長」に統一させていただきます。

また、この記事での介護施設にはグループホーム、有料老人ホームを含む広い意味での介護施設を指すこととします。

稼働率(最大で唯一の経営課題)

介護業界では定員に対する利用者数を稼働率で表します。

定員の上限に張り付くような稼働率で運営するのが理想ですが、かなり困難になります。

データを見る人(男)のイラスト

定員を超える受け入れができないので、MAXが100%です。

ショートステイなどでは、退所日に別の入所を受け入れると、100%を超える運営も可能ですが、それはまた別途触れることにします。

各介護事業ともおおむね定員割れをおこしていると思われます。

現在の稼働率が低ければ、稼働率を上げる計画を立てましょう。

稼動率向上戦略

販売企画経験を活かして稼働率向上の戦略が構築できます。

たとえば、新規オープンした施設なら、地域での知名度がまだまだ低い状況です。

地域の病院の医療相談員に、高齢者の退院の受け皿として認識していただきましょう。

病院_color
地域で見てもケアマネや病院の相談員が施設の顧客を紹介してくれるキーマンなのですが、施設自体が知られていなければ紹介には至りません。

知っていただくためにあいさつ回りをします。

歴史のある施設であれば、赴任のあいさつに回らなければなりません。

地域のキーマンに会う際に事前にSWOT分析をしておいてトークに活かしましょう。

介護業界の特質的な背景

介護業界の施設単位で販売企画(=稼働率向上)を図るうえで、留意すべき特質的な背景を3つあげます。

<SWOT分析時に留意すべき特質的な背景>
老人ホーム
・介護保険施設の場合、ほとんどの顧客、競合施設、従業員や家族も地域の中にいる。
  →地域外の脅威は施設レベルではほぼない。


・競合といえども反目するわけではなく、地域で共存している。
  →競合相手と敵対しない配慮。


・他業種ほど独占状態のガリバー企業はいない。(行政によって独占をゆるやかに予防されている)
  →小さな規模でも生き残る道がある。


このような環境下にありますので、地域をしっかり見ればSWOT分析を行ううえで、見えない何かが起こっている可能性は低いと言えます。

介護施設のSWOT分析

強みと弱み

介護施設は地域密着型の事業なので、地域の中で他の施設に勝るところをまず知りましょう。

立地、施設の質・広さ・新しさ、提供サービスの種類、職員教育、地域の評判、運営母体の規模など、比較ポイントは多数あります。

在宅か施設か悩む高齢者

比較することで強みがわかれば逆に弱みも把握できます。

機会と脅威

地域における施設の機会と脅威は他施設の存在に左右されます。

ケアマネ、病院の相談員が施設を探す際に自施設を一番先に思い出してもらうこと。

つまり「第一想起」が最も大切な機会にあたります。
施設見学

脅威とは、他施設との競合、職員の不足、高齢者人口の頭打ち、感染症の影響で施設の利用控えなどがあります。

強み×脅威の戦略(コピー例)

それぞれの施設が強みを打ち出すことで脅威に打ち勝とうとする事例を紹介します。

施設(名前なし)2

サービス付き高齢者向け住宅:「要介護度にかかわらず入居できます」
これは、特別養護老人ホームが要介護3以上でないと入所できないため、サービス付き高齢者向け住宅の強みを打ち出したものです。

特別養護老人ホーム:「お看取りまでご一緒にいられる終の棲家(ついのすみか)です」
必要な医療処置が施設の対応範囲を超えない限りは住み続けることができます。

中高級クラスの介護付き有料老人ホーム:「その人らしい生活の実現」
高価である反面、提供するサービス内容に自由度の幅があるのでといった切り口があります。

24時間看護師が居る施設:「広範囲の医療対応」
高齢者の中には、痰の吸引、インスリン注射、経管栄養など、夜間でも医療処置が必要なケースがあり、その対応ができます。

まとめ

新しい施設であれば、上述のコピー例を参考に、地域の一員としての位置づけを獲得するように取り組んでください。

みんなで支える医療と福祉

歴史のある施設であれば、施設内の認識と地域の評判がかけ離れているケースもあります。上述の介護業界の特質的な背景を念頭に置いて、地域の方から施設の評判を聴くことから取り組まれるのが良いと思います。

50代、60代の実年世代で、他業種で販売企画の担当経験があれば、強み(Strength)と弱み(Weakness)を分析することに長けておられると思います。

この記事内容を参考にして経験を活かして施設を発展させることが可能です。

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