介護福祉士の制度も進化しています(50代、60代の転職)

介護業界をお勧めする理由
白雪の菰樽(兵庫県)

私はこのブログを通じて、50代、60代の実年世代のみなさんに介護業界への転身をお勧めしています。

この記事では、私が介護福祉士を始めて受験したころの思い出を中心に記します。


介護スタッフの仲間

当時の介護福祉士制度

当時は専門の学校を卒業すれば、無試験で資格が付与される時代でした。

専門の学校の中には、専門学校、高等学校、短期大学、4年生大学など、多種多様な学校があり、それぞれの出身者が介護現場にいました。

実務経験コースで取得する場合は、3年間の実務経験で受験でき、筆記試験と実技試験がありました。

筆記試験の受験は必須ですが、実技試験は実技試験免除講習を受ければ、免除されました。

ベテランさんは「実技で落ちるわけがない、落ちたら恥」と言われていました。

また、実技試験免除講習を受講して資格を取得すると「裏口」とか「お金で資格を買った」などと言われた時代でした。

実務経験コースで受験

私は実務経験コースで筆記試験と実技試験を受けることにしました。

その時は介護の職場の管理職として認知症介護の実務経験がありました。

身体介護の経験はほとんどなかったのですが、ヘルパー2級も持っていたので、一通りの知識はありました。

その時は介護現場で働く予定はなかったのですが、介護の職場では資格がものをいうので、資格を持った管理職になろうと思って受験しました。

筆記試験会場は極寒の地

筆記試験会場は関西の大きなイベント会場でした

天井が無駄に高いので真冬なのに暖房も効かず、受験者全員が分厚いコートを着ての受験でした。

当時は若い受験者が多くてあまり苦にならなかったのでしょうか、苦情の少ない時代背景でしょうか、受験者の心が優しかったのでしょうか、苦情を言う人は居ませんでした。

大きな試験会場もなかったので仕方がなかったかもしれませんが、私だけは不満でした。

まぁ、何とか学科試験は合格しました。

実技試験(過去問)でシーツ交換?

実技試験対策でベテランさんに過去問対策を教わりました。

その中で「シーツ交換」という過去問がありました。

まだ介護の技術が確立していない時代だったのだと思います。

介護福祉士の実技試験が「シーツ交換」だった年もあったということでした。

丁寧にきれいにシーツを交換する手順を教わりましたが、なんとなく違和感を持ちました。

「介護の実技」で何を求めるのか、方向性が定まっていなかったのかもしれません。

もしくは軌道修正の最中だったのかも知れません。


実技試験の方向性がつかみにくく、ポイントも絞れませんでした。

情報が少ない時代

いまのようにネット上に無料で正しい情報があふれている時代ではなく情報の少ない時代でした。

ネット上の情報は真偽の怪しいものばかりでした。

過去問に対する「正解例」もサイトごとに異なり、何が正解かわかりませんでした。

書籍でも正解を解説して出版されていましたが、図解ではピンと来ないものでした。

実技試験本番で真っ白に

試験対策もままならず、実技試験にはぶっつけ本番で挑みました。

後半人生でベスト3に入るくらい緊張しました。

試験問題を提示されましたが、何をすればよいのか、注意すべきポイントがわからない。

番号を呼ばれて試験会場に入るとき、緊張がピークに達して本当に頭の中が真っ白になりました。

ベテランさんが「落ちたら恥」というような試験で、試験問題のポイントがわからない。

とんでもなく場違いなところに来てしまった。

もう、謝って帰ろうか、とまで思いました。

それでも持ち時間終了までは、その時のベストを尽くしました。

おそらく、棒立ちになったり、声掛けが途切れたり、散々だったと思います。

自己採点で望みをつないだ

試験終了後も自宅にもどってネット検索すると、サイトごとに意見が様々で、合格しているかも知れない、という期待も持ちました。

ひっかけもない安易な問題だというサイトと、ちょっとヒネリが入った難しい問題だった、というサイトがありました。

ベテランさんに聞くと「現場を見ていないからわからないけど、危険行為にあたるかもしれない」という部分がありました。

実技試験不合格

いちるの望みを胸に結果発表を迎え、結果は見事に不合格でした。

ベテランさんは「私たちは何年もやっているのだから…」と声をかけてくださいました。

実力も無いのにベテランに真似て実技試験免除研修を受けずに受験して恥ずかしい思いをしました。

当時は「学科試験と実技試験は一体もの」という考えで、翌年受験するのであれば、学科試験の受け直しが必要でした。

介護実務の職種でもなく、仕事の都合であまり時間も裂けないので、しばらく受験はあきらめることになりました。

実技不合格のトラウマ

ある日、介護の仕事とは全然関係なく街を歩いていました。

すると高齢者が乗った自転車が目の前でこけました。

あっこけた、起こさなければ、助けに…行く…、一瞬躊躇しました。

介護実技不合格の烙印を押された私が、高齢者のお助けしていいんですか?

そんな思いが頭をよぎりました。

一瞬だけ遅れましたが、立ち上がりのお手伝い、ケガの無いことも確認して「ありがとう」と言っていただきました。

あれから何年かたっているのに、トラウマになっていたんだなぁ、と気づきました。

介護福祉士合格で逆トラウマに…

その後、本格的に介護の職場に転身しました。

実務試験免除コース(当時)で介護福祉士に合格しました。

資格を取ったことが自信につながりました。

身体介護にも積極的にかかわるようになり、いまは戸惑うこともなくなりました。

まとめ

介護福祉士不合格は格好が悪い体験です。

できそうな気がして歯が立たなかったのでした。

一度はトラウマになった体験ですが、克服できました。

同世代の何かのお役に立てればと思い記しました。

いまは介護福祉士になるには実務者研修を修了することが必須です。

介護に要する技術が確立しつつある今は、学ぶことはたくさんあります。

それでも、実技試験の無用なプレッシャーはありません。


一部の医療行為※もできるようになり、守備範囲も広くなっています。


50代、60代のみなさん、どうか、現代の制度で介護を学んで介護業界に来てください。

※古い時代の介護福祉士資格だけではできないこともあり、ベテランさんも勉強しています。

 介護業界は経験の長い人が職人気質を発揮する職種から脱却しています。

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