介護における自立支援とは(50代、60代の転職)

豆知識(雑談)
月食風景

介護保険法では「尊厳の保持」と「自立支援」という2つの大きな柱になる部分が明記されています。

また、介護保険の理念では、単に介護を要する高齢者の身の回りの世話をするということを超えて、高齢者の自立を支援すること、とされています。

50代、60代の実年世代の方が他業種から介護の仕事に就かれる方向けに要約して解説を付け加えます。

介護保険法 第一章 第一条

第一条 この法律は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする。

自立支援の具体例

  • 移動の自立

    私も当初は自立支援の意味が理解できませんでした。

    しかしよく考えてみると、健常者も移動の際にはバスや電車を利用します。

    それは足が不自由な要介護者が車いすと介護タクシーを利用することと同じことだと気づきました。

    介護タクシーが自宅まで迎えに行って、車いすのまま病院までの移動をお手伝いする。

    社会資源を利用してご自身の意思に沿って移動できれば移動の自立といえます。
  • 排泄の自立

    寝たきりに近い状態で、ベッド上でオムツをしている方は自立されているのでしょうか。

    尿意、便意があいまいでオムツをしていても、排泄ができる方は、排泄能力があるのでそれを生かして生活します。

    自分の力では清潔の保持ができないなら、介護者がオムツ交換をお手伝いします。

    介護者のお手伝いを通じて排泄の自立となります。
  • 社会活動への参加

    社会活動への参加と聞くと、介護度が低い方が友人と交流したり、地域のボランティア活動への参加をイメージしますが、施設入所者で寝たきりに近くても社会活動へ参加されます。

    施設のデイルームで、みんなで歌を歌う、歌えない人は人の歌を聞いて過ごします。

    自分でデイルームまで出てこられないから介護者が移動をお手伝いすることで、社会活動への参加を意味します。

自立の概念について

「自立」とは、「他の援助を受けずに自分の力で身を立てること」の意味であるが、福祉分野では、人権意識の高まりやノーマライゼーションの思想の普及を背景として、「自己決定に基づいて主体的な生活を営むこと」、「障害を持っていてもその能力を活用して社会活動に参加すること」の意味としても用いられている。(厚生労働省HPより引用)

自立支援の種類

介護における自立とは、要介護者が可能な限り、自分の能力を活かして生活していくことで、身体的自立、精神的自立、経済的自立、社会的自立などいくつかの種類があるとされています。

これらの自立は相互に関連をしますので、分類にとらわれずに様々な形の自立があることを理解しましょう。

できないことをネガティブにとらえるのではなく、残存能力をみつけてポジティブな気持ちになることが重要であると言えます。

まとめ

自立支援は介護サービスを提供するうえで、介護業界の共通認識であります。

施設長、主任、リーダー、一般職に至るまで、全員が知っている概念です。


他業種から介護の仕事に就かれる場合には、必ず押さえておいていただきたい概念です。

極論をすれば、寝たきりで呼吸器をつけていたとしても呼吸(酸素の取り込み)は自立されているので、その自立のお手伝いをするという概念です。

自立されている部分、能力が残存している部分をポジティブにとらえて、お手伝いが必要な部分を介護する、という考え方です。

介護が単なる措置になると介護サービスを提供する側も心を見失います。

自分自身の心を大切に保つためにも「自立支援」を理解して心のある介護サービスを提供しましょう。

コメント