50代、60代の実年世代で定年退職や早期退職などで介護業界に転職し、介護職を目指される方に向けて介護の仕事を紹介します。
訪問介護以外の業態の介護職は、無資格でも就業できますが、介護の仕事に就かれる際には、あらかじめ資格取得されることをお勧めしています。
資格取得のための講習で得た知識や技術は、自身の心身のストレス軽減にもなります。
転職によって余計なストレスを抱え込まないためにも、資格取得をお勧めします。
この記事では介護施設の事務長、施設長で「情報開示請求への対応」についての経験談を記します。
補足的な説明
法制度に従って似たような語感の制度があります。
この記事では前者にかかわる経験について記します。
個人情報保護法に基づく開示請求
個人情報保護法に基づき保有個人情報の開示等を請求することができます。
具体的には介護サービスの利用者が介護記録などの個人情報を開示請求する、などのケースがあります。
利用者個人の記録が対象です。
介護保険法に基づく情報公開制度
介護保険法に基づく「介護サービス情報の公表制度」があります。
全国の介護サービス事業所のサービス内容などの詳細情報を、インターネットで自由に検索・閲覧できるシステムです。
利用者個人の記録は対象ではありません。
個人情報開示請求事例① 介護事故に対する責任追及
介護記録の開示請求に関しては、転倒事故、食事中の窒息事故、救急搬送、認知症のBPSDなど、何か事が起こった際に施設の対応を批判的な角度から検証しようとされるケースが多いようです。
弁護士から期間を指定されて一式の記録を開示したこともありました。
多くの場合が賠償請求に絡んできます。
個人情報開示請求事例② 医療機関(友人)への情報提供
息子さんが自分で探してきた医療機関(息子の友人の病院)への情報提供のため、自分で持っていくと言って介護記録の開示を求められました。
情報を提供する制度があるので、その書式でお出しすると言ったのですが、友人だから正規ルートは要らない。情報だけほしいと言われてお出ししたことがあります。
息子さんは自分で何でもやる人で、こちらの介入を避ける方だったので、情報のみを提供しました。
その後、その医療機関に入院されたようですが、入院と同時に退去されました。
情報を提供するちゃんとした制度があるのに、それを嫌がられた特異なケースでした。
個人情報開示請求事例③ 母の思い出のために
母が施設に入所してから毎日どのように過ごしていたのか、母の生きた記録として介護記録を開示してほしいという請求もありました。
どうしても介護記録の開示となると賠償請求が絡むケースが多いので施設側は慎重になるのですが、この方の場合は介護記録を読んでお母様の様子を偲ぶだけに利用されました。
個人情報開示請求事例④ 財産分与でもめているケース
施設とは関係のないところで、兄弟間の財産分与でもめているケースも何度かありました。
どちらが多く面会に来たか、どちらの家族が親の生活を支援していたのか、その記録を求められます。
この場合は面会簿の記録だけで来訪頻度がわかります。
介護記録を開示するには時間がかかるという説明をして、面会簿だけ開示する方向でお話をしました。
開示するうえでの注意点
介護記録には、職員や他の入所者の名前も記載されています。
対象者本人の個人情報以外を漏洩しないようにしなければなりません。
職員、他入所者の使命を黒塗りにする手間がかかりますので、準備費の実費をいただきます。
まとめ
たとえ施設側に何らかの落ち度があることが明白であっても、介護記録は隠さずに開示するべきです。
経験上、介護記録の開示を求められる場合は、8割方責任追及の意図がありました。
ミスによる事故であっても過失であれば損害賠償保険での対応になります。
介護記録の内容を改ざんすると改ざんした個人が罪に問われます。
改ざんしなければ賠償請求というお金の問題ですが、改ざんしてしまえば個人の刑事罰にも発展します。
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