高齢者の自由を制限せざるをえない糖尿病の事例 混合型での経験談

経験談(雑談)
迫力の側面_DD51形ディーゼル機関車(津山扇形機関車庫)

混合型の有料老人ホームの施設長をしていた時の経験談です。(2000年代中頃)

混合型の施設とは、健常者の方と要介護の方がおられる施設です。


健常者にとっては要介護となる将来を見据えて入居する高齢者マンションのような施設です。


認知症が無い方で、糖尿病をお持ちでしたが、インスリンは自己管理されていました。

好きなものは食べたい方なので、血糖値が上がると自己判断で多めにインスリンを打つなど自分勝手な管理をされていました。

私は基本的には自由を尊重したいのですが、後で付随的に起こる事象に施設の責任が及ぶのは本意ではないので、医師とやりとりをしていました。

高齢者事業を知る上でのご参考になればと思い記します。

インスリン自己管理の状況

  • インシュリンは自己注射で、単位数はも自己管理です。医師の指示通りでない単位数を長年うち続けてこられました。
  • 自分の体質は自分が一番よく知っているので、医師には体質の違い(自分はインスリンが溜りやすい体質:ご本人談)がわからないので、自分に会った単位数は、自分にしかわからない、と言われます。
  • しかしながら判断基準があやしく、血糖値が低くてもインスリンをたくさん打とうとされます。また、自己判断で一回に30単位注射されたと聞きました。(本人談)
  • 今後、ご自身の認知力が低下した場合の懸念もされています。
  • 血糖値の測定データの結果が悪いときは記録しない。(医師に正確な情報が伝わっていない)
  • 生活が不規則で、午前10時を起床時間とされているため、施設の朝食が提供できません。(施設の朝食は食中毒防止のため午前9時に破棄します)
  • 味覚の低下のためか、食事がおいしくないと言われ、施設の食事は口にされず、ご自身で購入されたお菓子類を間食されています。このため、食事量が少なく、摂取カロリーの把握が困難です。

かかりつけ医にお願いした内容

  • 医師より施設での生活について、食事時間、摂取カロリー、インシュリンの単位、注射介助する時間帯(タイミング)、血糖値の測定など、詳細な指示をいただき、施設でも側面から管理したいと存じます。
  • 施設でも血糖値データを取り、推移を把握するようにいたします。
  • 改善されない場合は、入院加療される選択肢もあろうかと推察しますが、ご本人が入院に同意されないケースも予測されます。
    その際には、Dr.およびご家族のご協力を賜りたく存じます。
  • 具体的な指示は、ご本人および、施設のケアマネ(もしくは看護師)にも情報共有をお願いいたします。ご本人だけにお伝えいただくと、施設には正確に伝わらない恐れがあります。
  • 施設側の制約条件
    • 看護師の勤務時間
      8:30~17:30
      インシュリンの注射介助、血糖値の測定は、この時間帯の範囲での対応になります。
    • 常勤医師は不在です。
    • 食事提供時間
      朝食  7:30~ 9:00
      昼食 11:30~13:00
      夕食 17:00~19:00
    • 糖尿病治療食の提供は可能ですがご本人は嫌がられると思います。

まとめ

認知症が無い高齢者の生活は基本的には個人の自由にしたいと思うのですが、易きに流れる癖のある方は注意が必要です。

糖尿病の方に共通する性格的な特徴もあるように言われますが私の体験上もそういう傾向は「無きにしもあらずかなぁ」と思います。

「楽は苦の種、苦は楽の種」とはよく言ったもので、不摂生が溜まると大きなしっぺ返しに遭います。

それを食い止めるのも高齢者施設の役割なのですが、それも実際に経験を積んで体得してきました。


いまはどこの事業者でもノウハウが積みあがって相談相手もいますので、これから転職される50代、60代の方はご安心ください。

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