50代、60代の実年世代で定年退職や早期退職などで介護業界に転職し、管理職を目指される方に向けてこれまでの実務経験の活かし方を記します。
他業種からの転身でも、営業経験があれば、その経験は生かせます。
おそらく募集している施設で、現場に即した導入研修もあろうことと思いますが、介護事業に関する勉強は継続してください。
なお、有料老人ホームの施設長は、管理者、ホーム長などと呼ばれるケースもあります。
現実には細部で違いがありますが、ここでは便宜上、同じ職種としてまとめて、呼称は「施設長」に統一させていただきます。
また、この記事での介護施設にはグループホーム、有料老人ホームを含む広い意味での介護施設を指すこととします。
営業の重要性
営業職の経験がある方、自分の強みに自信をもって、営業の基本に立ち返った施策を講じることで、組織内の求心力を高めます。
採用側も営業手腕に大いに期待するところです。
以前は「特養は100人待ち」と言われ高齢者施設は顧客が列をなして並んでいる時代もありました。
このため、営業しなくても客は来る、という風潮が心の奥深くに残っています。
施設の設置が進んだこと、新型コロナの問題など、社会情勢の変化によって、昨今は定員割れを起こしている介護施設も少なくありません。
介護施設の収入源は介護サービスだけなので、定員割れを起こしていては、法人や施設は存続の危機に直面することになります。
しかしながら、介護業界の生え抜きの人は福祉の心が根底にありますので「営業」という言葉に違和感があります。
また、営業の必要性は理解しているが、具体的にどうすればよいかわからない、といった傾向があります。
介護施設の営業について解説します。
施設の強みを知る
営業マンにとって商品知識は欠かせません。
自施設の特徴を知る必要があります。
他職種のスタッフと話し合って、施設の特徴をつかんでおきましょう。
介護職場のスタッフは職人気質の人も多いのですが、そういう方は何らかのプライドに支えられて仕事をしています。
施設が自慢できることを率直に聞いて、施設の特徴、強みを知りましょう。
新しく来た上司にそれを聞かれることは、職員にとっても励みになりますので、ポジティブに聞き取るよう心掛けてください。
営業手段
営業先は、病院、居宅介護支援事業所、地域包括支援センターの3種類です。
それぞれの特徴は別記事で触れますが、営業の基本に立ち返って定期的に相手先に顔を出すことが大切です。
そのためには、営業ネタを定期的に更新する必要があります。
施設の強み、良いところ、地域のお役に立つことを知っていただくことです。
レクレーション、季節の行事、イベント食(例:ひなまつりのちらし寿司の写真)、リハビリ、施設の設備、施設の立地などを月替わりでチラシを作成して定期的に訪問します。
インスタグラムの更新をすると、集客のみならず、採用の応募にもつながります。
現場との関係づくり
営業の成否のカギを握る介護現場との関係づくりは欠かせません。
他職種の営業では、営業が請けたい仕事を現場が請けられない、ということがあります。
介護施設の営業も他職種の営業と相通じるところがあり、受け入れたい利用者を現場では看られないということもあります。
介護経験がなければコミュニケーションも取り辛いのですが、時間を作って頻繁に介護現場に足を運ぶことで少しずつでも関係を構築しましょう。
そうすることで、現場では看られないと言われる利用者について介護現場から「こうすれば受け入れできる」という提案を引き出すことができます。
介護の現場は気持ちで動いている面もありますので、気持ちへの配慮によって成否が分かれることもあります。
注意したいのは、強引に受注(施設の場合、入所受け入れ)することは控えてください。
人の命、安全、安心が脅かされることにつながります。
強引に受け入れたがために第三者が被害を被った、という悪い結果を引き起こさないためにも現場との対話を心がけましょう。
口コミにつながる仕事
介護施設の場合、困難な案件、緊急の案件を受け入れすると地域のケアマネから感謝され、口コミで伝わる傾向があります。
困難な案件では、認知症による転倒リスクが高い方、暴言暴力に発展する方、帰宅願望が強い方などがあります。
緊急の案件では、主たる介護者(家族)が入院したので生活ができない、家族との関係(虐待など)で緊急的に保護したい、などがあります。
詳しい説明は別記事で改めて記載しますが、いずれも施設内のできるだけ多職種の人を巻き込んで、積極的に受け入れ検討を進めてください。
このような案件から「逃げている」という印象が伝わると、ネガティブな評価が口コミで伝わってしまいます。
無理な時は早めに断ることも大切です。
事情を説明したうえで早めにお断りしてください。
まとめ
他職種で営業職の経験があればそのノウハウを生かすことができます。
基本に立ち返って、顔を合わせて覚えてもらうことから始めてください。
客先に頻繁に顔を出す、施設の強みを知る、現場との関係づくり、約束を守る、迅速に動くなど、他職種の営業と基本の部分は何ら変わりません。
そしてこれらを進めるうえで組織の長としての求心力を高めていくことができます。
ただ、強引に進めることのネガティブな影響は、他職種の営業よりも大きいことは知っておいて自重してください。
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