50代、60代の実年世代で定年退職や早期退職などで介護業界に転職し、管理職を目指される方に向けてこれまでの実務経験の活かし方を記します。
他業種からの転身でも、営業経験があれば、その経験は生かせます。
おそらく募集している施設で、現場に即した導入研修もあろうことと思いますが、介護事業に関する勉強は継続してください。
この記事では病院の種類と配慮ポイントについて記します。
なお、有料老人ホームの施設長は、管理者、ホーム長などと呼ばれるケースもあります。
現実には細部で違いがありますが、ここでは便宜上、同じ職種としてまとめて、呼称は「施設長」に統一させていただきます。
また、この記事での介護施設にはグループホーム、有料老人ホームを含む広い意味での介護施設を指すこととします。
病院の種類(病院は営業活動の相手先)
下図のとおり、病院(病棟)には種類があります。
それぞれの病院(病棟)から居住系介護施設(特養、グループホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅など)への入所が想定されています。
地域にどのような病院があって、どの病院が区分上どうなっているかを知るには「病床機能報告」で検索していただければ、都道府県が公表しています。
営業に行く際に、先方の病院がどのような種類の病院か知っておくほうが、営業的な話ができます。
ここの記事では、介護施設の営業の観点から病院を急性期、地域包括ケア、回復期、療養型、精神科の5種類に区分します。
※下図は「病院から退院者を受け入れるイメージ」としてご覧ください。記載内容はこの記事と直接関係がありません。
令和4年度診療報酬改定の概要 入院Ⅱ(回復期・慢性期入院医療) 厚生労働省HPより引用
急性期病院(病棟): 高度急性期病院を含む
救急車を何台も受け入れ、手術や高度な検査を行っている病院です。
急性期病院には次々に救急患者を受け入れる役目があり、病状にもよりますが入院期間は2週間ほどにするよう国の医療制度で推奨されています。
全国の急性期病院がそうなっています。(国立 東京労災病院HPより引用)
退院予定日の1週間~10日前に病院の相談員(医療相談員:MSW)より施設入所の検討依頼があります。
退院を担当される相談員は、病院のベッドを空けることが仕事なので、受け入れが遅れたり、断ったりすると、入所問い合わせ件数が減ってゆきます。
テキパキをスピーディに、問い合わせには当日中、遅くとも24時間以内の回答が必要です。先方の担当者が休みの日でもFAXなどで回答しておけば、他の相談員が動いてくれる場合もあります。
できるだけ進行を止めないように対応スピードが命です。
何軒かの退院先候補と同時進行しているケースも多く、早く受け入れ態勢が整うところに入所(退院)となる傾向があります。
また、退院時の薬の処方が少ないケースがあるので薬が切れないよう細心の注意を払いましょう。
地域包括ケア病院(病棟)
入院治療後、病状が安定した患者さんに対して、効率的かつ密度の高い退院支援を行い、自宅や介護施設等への復帰に向けた医療や支援を行う病棟です。
自宅や施設での療養に不安があったり、もう少しの入院治療で改善が見込まれる患者さん・ご家族のために、安心して退院できるよう医師・看護師・リハビリスタッフ等が協力して治療や支援、および退院後のケアについてサポートいたします。
入院期間は病状にもよりますが、最長60日以内での退院が原則となります。
(国立 宇都宮病院HPより引用)
退院の数週間~1か月前に病院の相談員(医療相談員:MSW)より施設入所の検討依頼があります。
退院を担当される相談員は、病院のベッドを空けることが仕事なので、受け入れが遅れたり、断ったりすると、入所問い合わせ件数が減ってゆきます。
急性期病院に比べると入所検討期間に少し余裕がありますので、小さなミス、家族対応などで大事なお客様を逃がさないように丁寧な対応に配慮ください。
きっちりと、ひとつずつ懸案事項を確認していくことが大切です。
回復期病院、回復期リハビリテーション病院(病棟)
急性期を経過した患者への在宅復帰に向けた医療やリハビリテーションを提供します。
特に、急性期を経過した脳血管疾患や大腿骨頚部骨折等の患者に対し、ADLの向上や在宅復帰を目的としたリハビリテーションを集中的に提供します(回復期リハビリテーション機能)。
回復期リハビリテーション病棟の対象患者および入院可能日数 国立宇多野病院HPより下図 引用
上図のとおり、入院期間は60~180日で疾患によって異なります。
退院の数週間~1か月前に病院の相談員(医療相談員:MSW)より施設入所の検討依頼があります。
退院を担当される相談員は、病院のベッドを空けることが仕事なので、受け入れが遅れたり、断ったりすると、入所問い合わせ件数が減ってゆきます。
入所後に提供できるリハビリについての予備知識も必要ですが、その場で即答できなくても施設内の多職種で検討して回答しましょう。
急性期病院に比べると入所検討期間に少し余裕がありますので、小さなミス、家族対応などで大事なお客様を逃がさないように丁寧な対応に配慮ください。
きっちりと、ひとつずつ懸案事項を確認していくことが大切です。
療養型病院(病院)
退院して施設入所するニーズはほとんど無いようです。
療養型専門の病院も何軒か訪問しましたが「ここの病院は退院する人がいない、だから入所のニーズがない」とはっきりと言われました。
逆に施設の入所(入居)者が延命治療を選択された場合の受け皿的な役割でのお付き合いになります。
精神科病院(病棟)
入院期間上限の設定は特にありません。
ただ、次々と入院が必要な方がおられますので、相談員は、病院のベッドを空けることが仕事であることは他の病院と変わりはありません。
認知症で精神科に入院している患者のうち「状態の改善が見込まれるので、居住先・支援が整えば近い将来(6ヶ月以内)には退院が可能になる」という方が40%ほどおられます。
以前は退院後もBPSDによる暴言暴力などが再発するケースがあり、精神科からの退院に対してはネガティブなイメージがありました。
最近は医療の発達が目覚ましく、病院が退院を判断され、退院も薬をきっちり飲んでいれば、介護施設であれば大きな問題なく生活できるケースがほとんどです。
一昔前のネガティブなイメージあり、患者、家族、施設の間に立って退院を支援されますので、相談員は気遣い型の方が多いようにお見受けします。
個人的な印象もありますが、精神科病院の相談員にあまり気を使わせないようにしたいと思います。
まとめ
先方の退院のニーズと当方の入所のニーズが合致しますので、WIN-WINの関係になれるのが病院への営業活動です。
相手の病院もしくは入院されている病棟種類によって、営業として相手に気遣うポイントが微妙に異なることに配慮ください。
また、こちらの体制やタイミングの問題で、先方の期待に沿えない場合はあります。
早めにできないことはできないと伝えて、迷惑をかけないことも重要です。
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