ICT担当者_2(50代、60代で転職)介護未経験で施設長応募⑭

これまでの経験が活かせる
メカニックな運転席(国鉄)

50代、60代の実年世代で定年退職や早期退職などで介護業界に転職し、管理職を目指される方に向けてこれまでの実務経験の活かし方を記します。

他業種からの転身でも、ICT担当経験があれば、その経験は生かせます。

パソコンを操作しているビジネスマンITシステム

おそらく募集している施設で、現場に即した導入研修もあろうことと思いますが、介護事業に関する勉強は継続してください。

なお、有料老人ホームの施設長は、管理者、ホーム長などと呼ばれるケースもあります。

現実には細部で違いがありますが、ここでは便宜上、同じ職種としてまとめて、呼称は「施設長」に統一させていただきます。

また、この記事での介護施設にはグループホーム、有料老人ホームを含む広い意味での介護施設を指すこととします。

ICT担当の実務経験

システム開発・運用・保守の経験orインフラ構築・ヘルプデスクのいずれかの経験者であれば、中規模~大規模の会社(法人)の本社(本部)でICT専任担当という職種もあると思います。

中~小規模の会社(法人)でも、介護記録の電子データ化が進んでいます。

介護士 タブレット

中~小規模の会社(法人)のICT担当者は、高いレベルのスキルが求められるわけではないのですが、これまでにいくつもの対応事例があり、なんとか解決してきた経験と自信があれば、他業種からの転身でも対応はできると思います。

介護施設のICT活用状況

一般的な事例を記します。

介護記録、利用者管理、請求業務については、1つのアプリケーションに統合されつつあります。

パソコンの前で喜んでいる人

端末はパソコン、タブレットが、有線、Wifiなどの通信環境でLAN形成され、外部のプロバイダ経由でクラウド接続されています。

介護現場で介護・看護職員が記録入力、事務所でケアマネがケアプラン入力、事務員が請求業務に活用しています。

なお、国保連へ請求は国保連のシステムを使用します。

これとは別に、ナースコールシステムがあります。

ナースコール、PHSが接続されていますが、内線通話、外線電話の発信や転送も同じPHS端末で受けられます。

また、施設によっては給食部門が別途栄養管理アプリを使用しているケースもあります。

給食業務を外部委託している場合は、アプリ使用環境を提供するだけになります。

おおむねこのようなシステムになっていると思われます。

介護事業者のICT担当者の業務

介護アプリの導入・メンテ管理

介護アプリの新規導入、リプレース導入、バージョンアップ、介護保険法改訂などに対応します。

国民健康保険団体連合会(国保連)

介護事業者の場合、国保連への請求が収入の大きな部分を占めますので、介護保険法の改訂があった場合の請求業務が円滑に行えるように細心の注意が必要になります。

介護アプリ以外のデータの管理

業界の特色として、人に依存していたので種々雑多な書式やデータがあります。

データをそれぞれの施設が持っており、人に依存しているので個人名のフォルダで個人ごとに管理しているケースも多いようです。

パソコンの前で困っている

たとえば、行政に提出する事故報告書は、自治体ごとに書式が違うのですが、施設を認可した所在地の自治体と、利用者ごとに違う保険者の自治体の双方に報告義務があり、個別の書式で作成、メール送信、データ・パスワードなどが管理されています。

これらの個別データに一定のルールを作って整理してクラウドサーバに移す、という取り組みも必要になります。

リスク対策

さまざまなデータ管理が個人ベースになっていることも多く、退職などによるデータの継承問題があります。
監視中
また、情報漏洩に対するセキュリティリスク、ウィルスなど外部からの攻撃から守るリスク、災害などのBCP対策もこれからの課題という会社(法人)も多いのが現状です。

日々のトラブル対応

これはどの業種でもあることですが、通信トラブル(Wifi接続できないなど)、パソコンが起動しない、サーバの不調、館内PHSが途切れる、ナースコールが鳴らない、などなどが考えられます。

パソコンの前で頭を抱えている人

ナースコールシステムもあり、環境が複雑なので切り分けが難しいケースもあります。

介護DXの導入

介護保険制度の維持は介護人材の確保が最重要課題です。

そのためにも、今後とも加算や補助金の形で国が支援されると思いますが、介護DXの導入が不可欠となります。
介護事務(ケアクラーク)

現場からは懐疑的な見方をされると思いますが、介護DXは現場の味方であることをICTの専門家から熱意をもって伝えていただくことも重要な課題です。

まとめ

別記事でも触れていますが、介護業界のICT対応はまだまだこれから、という段階にあります。

また、医療と同様で人の触れ合う仕事、人の心に寄り添う仕事であるがゆえ、地域密着となり中小の事業者が多い業界でもあります。

デスクワーク中の男性ケアマネジャー

また、少し以前の介護現場では記録の転記作業が山ほどありました。

しんどいことを黙々とやる生真面目な気質がありますので、逆に、改善提案が上がってきにくい気質でもあります。

まじめな人が多いので性善説で成り立っているため、セキュリティの甘さもあります。

これから50代、60代の実年世代のICT担当経験者が介護事業所に転職される場合、介護現場としっかり対話をして、業界の発展のためには離職防止につながることを願います。

(参考)

介護現場におけるICTの利用促進 厚生労働省HPより

ICT機器・ソフトウェア導入に関する手引き 厚生労働省HPより

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