介護職の職場を選択するにあたって、病院という選択肢もあります。
大きな違いは、病院の目的は治療、介護施設の目的は生活の質の向上です。
この目的の違いを「介護職場の選び方」という視点で比較してみますと、それぞれの職場に特徴的な面が見えてきます。
個人的には、介護職にとっては介護施設のほうが働きやすいように感じています。
ただ、人それぞれ、価値観の違い、環境の違いもありますので、ご自身に合った働き方を選んでいただく際の参考にしてください。
※病院では患者様、介護施設ではご利用者様と呼びますが、ここではどちらも要介護高齢者と表現いたします。
目的の違いで組織が違う
治療という目的がある病院では、医師の指示が絶対的です。
その次に正看護師、准看護師がピラミッドの上部に居ます。
そこにはキャリアというファクターもあり、新任の医師がベテラン看護師にかなり気を使っているケースも見受けました。
病院でも介護施設でも、職種間には見えない壁があります。
何年も学校に通って受験資格を得て、試験に合格している看護職と、数か月の研修を受ければ資格がもらえる介護職では、これまでに積み重ねた知識量、経験が違います。
こうした背景から、職種間に見えない壁ができるのも理解できます。
病院は上意下達のピラミッド型の組織であるのに比べ、介護施設では、各職種がドーナツ形の組織で、各職種が上下の区別なく要介護高齢者に並列にかかわります。
組織構造が大きく違うことによって、介護施設よりも病院のほうが、職種間の壁が厚くなる傾向があります。
目的の違いで仕事内容が違う
病院では一般的に介護職は「看護助手」と呼ばれます。
根本的な仕事内容は、介護施設の介護職と病院の看護助手に大差はないようです。
高齢者の食事、入浴、排せつ、更衣、清容などのお手伝いをする仕事です。
ただ、上記で触れたとおり、治療目的の病院と生活の場である介護施設では、目的が違うことで仕事の内容も似て非なるものになります。
病院は治療を目的として知識も経験も豊富な専門家が揃っていますので、看護助手(介護職)の意見を聞かれる機会はほとんどありません。
また、治療の過程で対処が難しい人は看護師が担当するため、看護助手はシーツ交換など雑用を主に担当することも多いようで、単純労作になる傾向があるようです。
介護施設は生活の場なので、要介護高齢者の生活の質の向上のため、普段からかかわっている介護職の意見を聞いて取り入れます。
専門的な知識がなくても、その人の様子やしぐさで感じ取ることができる情報が非常に有用な情報となります。
自分で見たこと、考えたことが、生かされるという面があり、単純労作という枠から一歩踏み出した働き方になります。
目的の違いでやりがいが違う
病院の治療は、マイナス(疾患)をゼロ(治癒)に近づける、という方向性の目標となります。
介護施設の生活は、プラス(いまできること)を活用して、さらにプラス(生活の質の向上)につなげよう、という方向性の目標となります。
マイナスをゼロにしようという職場と、プラスをよりプラスにしようという職場では、おのずと気持ちの持ち方が変わってきます。
実際に自分の提案が採用されて、要介護高齢者の笑顔が増えたときは、大いにやりがいを感じます。
介護職にとっては介護施設のほうがやりがいのある職場になると思います。
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