50代、60代の実年世代で定年退職や早期退職などで介護業界に転職し、介護職を目指される方に向けて介護の仕事を紹介します。
訪問介護以外の業態の介護職は、無資格でも就業できますが、介護の仕事に就かれる際には、あらかじめ資格取得されることをお勧めしています。
資格取得のための講習で得た知識や技術は、自身の心身のストレス軽減にもなります。
転職によって余計なストレスを抱え込まないためにも、資格取得をお勧めします。
おそらく募集している施設で、現場に即した導入研修もあろうことと思いますが、資格取得後も就業後も介護に関する勉強は継続してください。
この記事では食事介助について記します。
なお、この記事では介護施設での介護を想定しています。
介護施設にはグループホーム、有料老人ホームを含む広い意味での介護施設を指すこととします。
また、介護現場ではメモが必須です。
ポケットに入る大きさのメモ帳とボールペンを必ず持参してください。
食事介助とは?
高齢者施設の食事介助は、何らかの障害によって自分で食事摂取動作ができない方、もしくは認知症によって食事摂取動作をされない方の食事のお手伝いをすることです。
高齢化に伴って趣味などの生活の潤いから離れてしまった高齢者にとって生活の楽しみは、食事と入浴に集約されると言われます。
それほどに食事は高齢者の生活にとって大切なもので、高齢者がおいしく楽しい食事ができるよう援助することが求められます。
口から食べるということは、生活の質(QOL)の低下を抑制し、必要な栄養も確保するとともに、口で物を噛む運動が認知症の進行予防になるとされています。
「食べる・飲む」という行為そのものが幸福感、満足感にもつながっています。
このような視点から介護業界では「口から食べることを支援する」という考え方が定着しています。
食事介助中の事故とは?
食事介助中の事故は重大な結果を引き起こすことがあります。
事前にその点をよく認識しておいてください。
加齢によって食べ物を咀嚼(嚙み砕き、混ぜ合わせる)する機能は低下します。
麻痺などにより嚥下(飲み込み)障害、認知症などが重なり、飲み込む際に気管に入ってしまう誤嚥(ごえん)が起こり易くなっています。
また、飲み込める大きさよりも大きいものを飲み込んでしまう誤飲(ごいん)も起こり易くなっています。
これらによって窒息を引き起こすと生命の危険に及びます。
<参考>
誤嚥・誤飲を防止するために 全国老人保健施設協会HPより
事故発生時の対応
どんな事故でもとにかく一人で対処せず、できるだけ多くの職員を集めて対処することです。
誤嚥・誤飲事故は生命にかかわるので、吐き出す(取り出す)ことが最優先ですが、大声で他の職員を呼ぶなど並行して職員を集めましょう。
嚥下体操
食事開始前に嚥下体操を行います。
食事介助が必要な方で嚥下体操に参加できる方は少ないかもしれません。
一般的に有名なのが「パタカラ体操」です。
「パタカラ、パタカラ」と言うだけで口の機能が高まるので、口マネをする人ならできるかもしれません。
<参考>
口腔体操 日本歯科医師会HPより
食事の準備
事前に対象入所者の嚥下状態、食事形態など注意事項を確認します。
テーブルの除菌、手洗い、手指消毒など衛生管理を行う。
声を掛けたり肩を叩いたりするなどして入所者の覚醒状態を確認する。
入所者が安全・安楽に食事ができるような姿勢に配慮する。
(例:食べやすい座位の位置にする、体幹の傾きはないか等座位の安定を確認する、テーブルの高さを調整する等。)
入所者が、顎が引けている状態で食事が取れるようにする。
食事形態
施設では個人個人の咀嚼・嚥下能力にあわせた食事形態で食事を提供します。
[水分・食べものの形状] 刻み・みじん・ペースト・とろみ・ゼリー等
[温度] お湯やお茶は熱すぎるものを避ける
[窒息しやすいもの] パン・餅・こんにゃく・カステラ等
食事を取り違えて提供することがないように十分注意をしてください。
※食事形態の無断変更は不可です。
食事介助
食事の献立や中身を入所者に説明する等食欲がわくように声かけを行い、食事をとる楽しい雰囲気づくりを心掛ける。
入所者のペースに合わせて、あせらず、ゆっくり介助する。
入所者の食べたいものを聞きながら入所者と同じ目線の高さで介助し、しっかり咀嚼して飲み込んだことを確認してから適切な量の次の食事を口に運ぶ。
入所者のADL、嗜好、食事制限等を理解し、入所者の体調変化、嚥下・咀嚼の状況等にも目を配り、安全に気をつける。
食事介助(個別対応の事例)
たとえば、すぐに食べたがる方は目の前に食事を置くとすぐに食べ始めなければ大きな声を出し、他の方の迷惑になるので、食べ始めの直前にお出しする。
逆に、食事開始を理解するのに時間がかかる人もあり、早めの目の前にお出ししておくほうが良い場合もあります。
口元に食事を運んでも手で払いのけるなどの行為がある方もあります。
食事を口元の運んでも、口がなかなかあかない方もあります。
それぞれに介助方法がありますので、先輩職員にしっかり指導を受けてください。
まとめ
他の介助と同様ですが、個別の介助ルールがありますので先輩職員にしっかり指導を受けてください。
また、自分が介助している方以外の方にも見配り、気配りを忘れないようにします。
食事介助はリスクを認識したうえで、所者のペースに合わせて、あせらず、ゆっくり介助してください。
なにかあったらすぐに人(他の職員)を呼ぶことも覚えておいてください。
食事介助は入所者の楽しみの時間なので、緊張感を持ちながらも楽しい明るい気持ちで接することが良いケアにつながります。
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