50代、60代の実年世代で定年退職や早期退職などで介護業界に転職し、介護職を目指される方に向けて介護の仕事を紹介します。
訪問介護以外の業態の介護職は、無資格でも就業できますが、介護の仕事に就かれる際には、あらかじめ資格取得されることをお勧めしています。
資格取得のための講習で得た知識や技術は、自身の心身のストレス軽減にもなります。
転職によって余計なストレスを抱え込まないためにも、資格取得をお勧めします。
おそらく募集している施設で、現場に即した導入研修もあろうことと思いますが、資格取得後も就業後も介護に関する勉強は継続してください。
この記事では服薬介助について記します。
なお、この記事では介護施設での介護を想定しています。
介護施設にはグループホーム、有料老人ホームを含む広い意味での介護施設を指すこととします。
また、介護現場ではメモが必須です。
ポケットに入る大きさのメモ帳とボールペンを必ず持参してください。
服薬介助とは?
要介護状態の高齢者のほとんどは服薬が必要です。
しかしながら、服薬を自己管理できる方は少ないので服薬を介助します。
飲む薬の準備、飲むタイミング(食前、食後など)、飲み方(お薬ゼリーにまぜて服薬など)それぞれの方に応じた介助方法があります。
先輩職員から教えていただいてメモをとっておきましょう。
飲み薬以外には、貼り薬、塗布薬、吸引薬、座薬などがあります。
服薬介助の範囲
医師、看護師等の免許保持者でなければ「医業」(=医行為、医療行為)は禁止されています。
ここでいう「医業」とは「医行為を業として行うこと」を指すので、家族が介助するときには違法とならないケースがあります。
ここではその点を詳しくは触れませんが、介護職は「医業」(=医行為、医療行為)はできないと理解してください。
介護職が行うことができる服薬介助は「原則として医行為ではないと考えられるもの」の範囲内での服薬介助となります。
具体的には、皮膚への軟膏の塗布(褥瘡の処置を除く。)、皮膚への湿布の貼付、点眼薬の点眼、一包化された内用薬の内服(舌下錠の使用も含む)、肛門からの坐薬挿入又は鼻腔粘膜への薬剤噴霧を介助することなどがあげられます。
いずれの場合も。容態が安定しており、投与量の調整不要で、専門的な配慮が必要な場合ではないこと、などの条件がついています。
先輩職員から教えていただいて職場のルールに従って勝手な判断をしないようにしてください。
<参考>
医政発第 0726005 号 厚生労働省HPより
服薬事故(誤薬)
誤薬とは、利用者が薬の種類や量、薬を飲む時間や方法を誤って飲むことをいいます。
誤薬は、薬の内容や量によっては、利用者の生命に重大な危険を及ぼすことになり、決して起こってはならない事故ですが、「ついうっかり」、「思い込み」などのヒューマンエラーが最も起こりやすい事故でもあります。
このため、薬を取り扱う際には、複数回のチェックを行うことを習慣化することが重要です。
誤薬が起こる要因としては、薬の危険性に対する意識が低いこと、食事時間はいくつかのケアが重なり、あわただしい状況にあること、薬の確認が不足していること、薬の取扱いに関するルールがチーム内で統一されていないなどが挙げられます。
服薬介助の注意事項
食後の飲み薬の服薬介助を想定して一般的な注意事項を記します。
誤薬をなくすために、少なくとも「配薬ボックスや薬袋から薬を取り出すとき」、「利用者に薬を手渡すとき」、「薬を飲む前」の3回のタイミングで、その薬が本人のものであるか、薬の量や時間は適切であるかなどを確認するといった基本的事項を徹底しましょう。
その際には、できる限り複数の職員で確認するようにしましょう。
また、利用者によっては、口に入れた後、吐き出すこともあるため、飲み込むまで 確認する必要があります。
上記に加えて私が必ず実行している対策は、服薬前に薬袋に書いてある名前を読み上げ、本人の返事をもって本人確認しています。
また、万一に備えて服薬介助後も空の薬袋はすぐに捨てないようにしています。
BPSDによる事例
認知症の行動・心理症状(BPSD)によって、疑心暗鬼になっている方、反社会的行動をとる方がおられます。
服薬介助でお薬を目の前にもっていくと、ものすごいスピードで払いのける方もあります。
一旦口に入れて横を向いて「ペッ」と勢いよく吐き出す方もあります。
薬を飲んだフリをしてこっそりコップ内に吐き出す方、ポケットにしまい込む方もあります。
ほとんどの場合服薬拒否に合理的な理由は無く、認知症という「病気の症状」による服薬拒否なので、この症状を無くすことはできません。
説得による納得も困難です。
こういうこともあることを念頭に置いて、気を抜かずに慎重に服薬介助を行ってください。
飲んだか飲んでいないかしっかり最後まで確認すること、飲んでいない場合で飲むことが困難な場合には、必ず看護師に報告することが必要です。
また、朝起きてこないために朝食が摂れなかった場合なども食後の薬をどうするか、看護師に確認が必要です。
空腹状態でも飲むか、昼食後に回すか、飲まなくても良いか、その方の状態によって判断が分かれます。
まとめ
服薬介助は介護職にとって心労の大きな業務です。
服薬介助による事故(誤薬)は生命にかかわる重大な事故になる恐れがあります。
また、認知症による服薬拒否などがあると、服薬が困難な場合もあります。
これらのことを踏まえて、服薬介助をする際には細心の注意を払って慎重に取り組みましょう。
服薬介助がうまくいかなかった場合は、必ず看護師に報告しましょう。
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