50代、60代の実年世代で定年退職や早期退職などで介護業界に転職し、介護職を目指される方に向けて介護の仕事を紹介します。
訪問介護以外の業態の介護職は、無資格でも就業できますが、介護の仕事に就かれる際には、あらかじめ資格取得されることをお勧めしています。
資格取得のための講習で得た知識や技術は、自身の心身のストレス軽減にもなります。
転職によって余計なストレスを抱え込まないためにも、資格取得をお勧めします。
おそらく募集している施設で、現場に即した導入研修もあろうことと思いますが、資格取得後も就業後も介護に関する勉強は継続してください。
この記事では転倒事故への対応について記します。
なお、この記事では介護施設での介護を想定しています。
介護施設にはグループホーム、有料老人ホームを含む広い意味での介護施設を指すこととします。
転倒事故とは?
高齢者の事故で頻発するのが転倒事故です。
加齢に伴い身体機能が徐々に低下し、筋力、バランス能力、瞬発力、持久力、柔軟性が衰え、とっさの反射的防御動作が、すばやく力強く行えなくなります。
また、自分自身の予測・期待する動作と現実の動作との間に齟齬が生まれて転倒を引き起こすことがあります。
自宅で転倒した場合は特に問題になることは少ないのですが、施設で転倒があると「事故」になります。
避けられる転倒だったのか、避けられない転倒だったのかという問題になります。
施設側の落ち度の度合いによっては賠償問題に発展するケースも少なくありません。
自治体によって差異はあるかもしれませんが、たとえ個室で一人で転倒されたとしても、施設内であれば「サービス提供中の事故」に分類されます。
また、病院などを受診した場合は行政への報告義務があります。
このように施設における転倒事故には責任が伴い、転倒予防は義務を伴います。
転倒事故の対処
転倒のほとんどが軽症で、大抵は様子見になりますが、時折要注意な転倒もあります。
まず、意識があるか、どこを打った(痛めている)か、痛みがあるか、などをその場で確認するとともに、他の職員を呼ぶなど並行して職員を集めましょう。
呼び掛けても反応がない、呼吸をしていない等、明らかに異常がある場合にはすぐに119番に電話して救急車を呼びましょう。
意識があれば、職場のルールに沿って対処してください。
その場で血圧、体温、血中酸素濃度などを測定することをお勧めします。
意識があり、呼吸も脈拍も異常がない場合でも、下記のような専門機関に相談するなど、緊急度に応じた対応を行いましょう。
また、転倒事故の直後に異常がなくても、経過を観察し、いつもと様子が異なる場合には、医師の診察を受けましょう。
転倒によって頭を打った後に、意識障害(反応がない、ぼーっとしている)、頭痛や吐き気、めまい、手足のしびれや麻痺が起きたときは,脳への強い衝撃を受けた可能性が高いので、直ちに医療機関を受診して下さい。
●電話相談窓口「救急安心センター事業(♯7119)」等
<参考>
みんなで知ろう、防ごう、高齢者の事故 ① 消費者庁HPより
転倒事故の報告
転倒事故の家族への報告は、施設ごとにルールがあるので先輩職員に教わってください。
夜間は介護職から連絡することもありますが、基本的には施設のケアマネ、相談員などが連絡する施設がほとんどです。
家族への説明不足や不適切な説明によって事故発生時にトラブルになることもあります。
誤解を招かないような説明が必要です。
また、行政報告はおおむね1週間以内という猶予期間があり、報告担当者を施設が定めていますので、介護職が報告することは無いと思います。
転倒事故事例
私の経験でよくある転倒の事例を挙げます。
下肢の筋肉が弱っていて歩行する力がないが、認知症により歩行する力がないことを忘れて歩こうとして立ち上がって転倒する。
普段車いすに座っていて立ち上がって歩行することがない人が、突然立ち上がって歩行して転倒する。
車いすや歩行器のブレーキがかかっていなかったため、手を伸ばした時に車いすや歩行器が動いて転倒する。
後ろから呼びかけられるなど、なにかのタイミングで急に体の向きを変えて転倒する。
わずかの距離(例えば居室のベッドからテレビまで)だから歩行器や杖を使わずに歩行して転倒する。
環境要因も大きいので予防法は職場で話し合って決めるのが良いと思います。
まとめ
転倒事故は応急対処、原因、対策、家族報告ともに非常に奥が深いものです。
ここでは、50代、60代の実年世代で定年退職や早期退職などで介護業界に転職し、転倒事故に遭遇した場合を想定して記しました。
我々のような50代、60代の実年世代はこれまでの社会経験があるので、高齢者の転倒を「仕方がない」、「よく聞く話」として受け止めがちです。
しかしながら、普通に生活をしているうえで、自宅で高齢者が転倒した場合と、介護施設に入所している入所者が転倒した場合では、意味合いが大きく異なります。
施設における転倒事故には責任が伴い、転倒予防は義務を伴います。
自宅での転倒と施設での転倒は違うということを感じとっていただければ幸いです。
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