50代、60代の実年世代で定年退職や早期退職などで介護業界に転職し、介護職を目指される方に向けて介護の仕事を紹介します。
訪問介護以外の業態の介護職は、無資格でも就業できますが、介護の仕事に就かれる際には、あらかじめ資格取得されることをお勧めしています。
資格取得のための講習で得た知識や技術は、自身の心身のストレス軽減にもなります。
転職によって余計なストレスを抱え込まないためにも、資格取得をお勧めします。
おそらく募集している施設で、現場に即した導入研修もあろうことと思いますが、資格取得後も就業後も介護に関する勉強は継続してください。
この記事では急変への対応について記します。
なお、この記事では介護施設での介護を想定しています。
介護施設にはグループホーム、有料老人ホームを含む広い意味での介護施設を指すこととします。
高齢者の生理学的特徴
高齢者は下記のように急変が起こりかねない要因が潜んでいます。
1.1人で多くの疾患を持っており、複数の疾患が慢性的に共存している
2.細胞内水分が少なく、水、電解質代謝異常を起こしやすい
3.同じ疾患であっても症状が非定型であることが多い
4.慢性疾患が多く併存し、完全治癒が難しい
5.認知症が隠れていることがある
6.薬物の体内動態が異なり、有害事象を発現しやすい
7.社会的・心理的な状態が疾患の経過・予後に影響を与えやすい
※「後期高齢者の健康(厚生労働省HP)」より引用
急変とは?
顔の麻痺、ろれつが回りにくい、高熱の発熱、呼吸困難、嘔吐、下痢、吐血、出血、下血、意識が遠のく(倒れる、座り込む)、のど詰め(窒息)、苦しみだす、激しい痛み、意識がない、心肺停止など、いつもと違う様子(症状)の場合、生命にかかわる場合があります。
緊急を要することがあきらかな場合はすぐにできるだけ人(職員)を集めてください。
救急車の要請、AED、心臓マッサージ、バイタル測定など、同時進行しなければならないことがたくさんあります。
緊急事態ではおのずと指示するリーダーがその場で決まりますので、ベテラン職員か看護師の指示に従ってください。
何をすればよいかわからなければ、引き続きできるだけ人(職員)を集めてください。
<参考>
救急お役立ち ポータルサイト 総務省消防庁HP
救急車要請
固定電話からではなく、患者の近くから携帯電話や館内PHSから119番に発信したほうが、情報伝達がスムーズです。
患者の氏名、年齢、施設の名称、住所を聞かれますので応えられるように日ごろから準備しておきましょう。
いまの状態(意識レベル、チアノーゼの有無など)を詳しく聞かれたら、看護師に変わって説明してもらうのも良いでしょう。
既往歴(病歴)、治療中の疾病・服薬中の薬の情報、家族の連絡先なども治療するうえで必ず必要な情報なので準備します。
延命治療を希望しない場合
救急隊員の行う応急処置等の基準の中に「傷病者の生命の維持又は症状の悪化の防止に必要と認められる処置を行う」と記されています。
救急隊が救命に懸ける使命感、技術力、情熱には頭が下がる思いをしています。
デリケートな話ですが、その反面で救急車要請をしたがために望まれない形で延命治療が始まる場合があります。
最近は施設入所時に延命治療を希望するかどうか、聞き取っています。
延命治療を希望されない方も、痛がっている、苦しんでいる場合は人道的見地から救急車を要請すべきです。
しかしながら、心肺停止状態で発見された場合は、ご家族に救急要請するかどうか、確認する場合があります。
入所時に延命治療を望まないと言われていても、状況が変わっているかもしれませんので、心肺停止で発見された旨を連絡して、心臓マッサージをして救急車要請をするか、自然なお看取りとされるか、ご家族に再度確認します。
応急対応
各地の消防署でも無料で普通救命講習を実施しています。
ホームページなどで確認して受講しておかれることをお勧めします。
また、応急手当WEB講習もあります。
一般市民向け応急手当WEB講習 消防庁HP
まとめ
ここでは、50代、60代の実年世代で定年退職や早期退職などで介護業界に転職し、急変に遭遇した場合を想定して記しました。
私はこれまでにおそらく100回以上救急車に乗って救急病院に同行しています。
心肺停止の第一発見者となったことも何度かあります。
それでもケースバイケースで毎回違いますので、慣れることはありません。
毎回極度の緊張があります。
介護業界未経験で急変に遭遇した場合は、適切に判断できなくても当たり前です。
まず自分自身が落ち着くこと、そしてできるだけ人(職員)を集めることです。
介護施設の職員は、その経験に応じてある程度の対処ができますので、人(職員)を集めて対処してください。
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