介護と親切は別モノ(異業種参入でも知っておきたいこと)

豆知識(雑談)
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介護と親切は別モノです。

介護職はサービスの対価をいただいていますので、しっかりとルールを守らなければなりません。

家族であれば罰せられないことでも、介護職が対応すると罰せられる場合もあります。

就業すればきっちり教わると思いますので、すこしだけサワリ部分を記します。

介護保険の理念「自立支援」に沿う

介護保険の基本理念である「自立支援」は常に意識して判断しましょう。

自分でできることを手伝ってしまうのは介護ではありません。

早く着替えてほしいから、ご自身で更衣できる方の更衣を手伝ってしまう。

車椅子で自走できるのに介護者が押して移動する。

自分で施錠できるのについ頼まれてやってしまう。

実際には人間関係の中でお手伝いしてしまうケースも多いですが、本来は介護職として不適切である範囲になります。

できることはご自身でやっていただくことが基本です。

介護保険の給付目的に沿う

介護保険は、介護される人の日常生活を援助することが目的です。

そのため、介護サービス利用者本人の援助とならないもの、日常生活上必要でない援助については、サービスの適用外となります。

訪問介護で例えれば、以下のようなものが介護保険サービスの適用外になります。

・利用者家族の食事の用意


・利用者が使用していない居室の掃除


・草むしりやペットの世話


・旅行やレジャーの付き添いや話し相手

医療行為に該当することは要注意

医療行為については、あらためて情報を整理しますが、こういうこともあるという一例を記します。

服薬介助については「看護師か薬剤師によって一包化された薬」の服薬介助は介護職に認められています。

いつも3錠のところ2錠にするなど、薬の量の変更など介護職の判断でおこなってはいけません。

また、一包化されていないシートの状態の薬を「朝は2錠ですね」と取り出してお渡しすることは違法行為になります。

介護職による血圧の測定は、機械による自動計測はOK、聴診器を当てて測定する方法はNG、です。

また介護職ができるのは血圧の測定のみで、結果の数字をみて何らかの判断をするのは医療職になります。

「T字カミソリによるひげ剃り」は、以前は一律でNGだったのですが介護職の対応はNG、としている自治体と介護職の対応はOK、としている自治体があります。

このように家族であれば許されることも、介護職が対価をいただいてサービス提供することは禁じられているケースがあります。

身体拘束に該当することは要注意

身体拘束についてもあらためて触れますが、こういうこともあるという一例を記します。

たとえば「ベッドに4点柵はNG」、がよく話題になります。

ベッド上から落ちないようにと4点を柵で囲うことは、身体の自由を奪う行為で身体拘束に該当する、という判断がされています。

私の経験で2回行政に判断を仰いだことがあります。

1回目は2006年ころと思いますが、ご自身は寝たきりで寝返りもできない方でしたが「不安で怖いから柵で囲ってほしい」と言われましたので行政に確認しました。

行政の判断は「本人の申し出であってもベッドの四方を柵で囲う4点柵の設置は好ましくない」ということで、3点柵対応にとどめました。

2回目は2020年ころ、ベッド柵をご自身で外すことができる方ですが、同じように「不安で怖いからベッドの四方を柵で囲いたい」とご本人が言われましたので行政に確認しました。

行政の判断は「本人が外せるのであれば身体拘束には当たらない」ということでした。

この2つの事例は別々の自治体で、時期も10年以上違いますので今も同じ判断かどうかはわかりません。

ただ、微妙な判断が必要なケースもあるので、頼まれてそのまま実行すると違法になるケースとしてご紹介しました。

まとめ

介護の仕事のイメージは「人に親切にすること」と見えるかもしれませんが、その底流には一般には知られていないさまざまな法律、指針、理念があります。

介護保険の理念、給付範囲、医療行為、身体拘束など、異業種参入でも知らないでは済まされないこともあるのでご紹介しました。

異業種から参入される方の参考になれば幸いです。

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