私が見た高齢者のあるあるを記します。
高齢者に悪気はなく善意100%であったとしても、それが災いにつながるケースがあります。
高齢者のあるあるを考慮していただいて、事故やトラブルを未然に防止できれば、それが良いケアにつながります。
スタッフにお金を配る
高齢者はお世話になったお礼ということで介護スタッフにお金を配ることがあります。
サービス業に対するチップであったり、子供や孫にお小遣いを渡すような感覚です。
でも介護職はお給料をいただいて仕事をしているので、チップをいただいてはいけません。
業界によってはチップを受領する慣例もありますが、介護業界の仕事の対価は、国の制度の中で定められた介護報酬で、介護保険料などの公的資金が充当されています。
公的なお金をいただいて仕事をしている以上、ほぼすべての介護事業者は個人的なチップの受け取りを禁止しています。
「あなただけだから内緒で」と言われることも多いのですが、ご本人が必ず誰かに言われます。
「私はお世話になった人にはちゃんとお礼をするタイプです。
〇〇さんにはお年玉もあげているのですよ」など、世間話の延長で秘密は簡単に漏洩します。
何度も言われて断ると怒りだされるなど、断り切れない場合は、一旦受け取ってすぐに上司に報告しましょう。
上司を通じてご家族に返却すれば複数の方が証人になります。
施設職員が分けられるもの(お菓子セットなど)であれば、管理者の判断で受け取ることがあるという内規が一般的ですが、現金、商品券は例外なく禁止しています。
公平にサービスを提供するというスタンスが疑われてしまうことにもつながりますので、決して個人では受け取らないようにしてください。
食べ物を配る
介護スタッフや他の利用者に食べ物を配る方もおられます。
ちょっとした善意からなのですが、賞味期限が切れていたり、傷んでいることも少なくありません。
高齢者は10日以上前のことを2~3日前と思われていることも多く、数日前に買ったと思っておられてもずっと以前であるケースがあります。
季節感覚もずれておられケースも多々ありますので、梅雨時にもかかわらず冷蔵庫に入れていなかったこともありました。
受け取りを禁止されていることをお伝えして納得いただければいいのですが、納得されない場合もあります。
そんな時は、ご高齢者を傷つけないようにお礼を言ってちょうだいして、その場では決して口に入れず、上司に報告してください。
高齢者同士の食べ物や飲み物の授受も注視しておく必要があります。
糖尿病、腎臓病などの方は食事制限があり、心臓病の方は水分制限があります。
持病にため食事制限、水分制限のある方に食べ物や飲み物を提供すると事故やトラブルにつながります。
いただいたお菓子を食べきれないからと周りのご高齢者に配られることもあります。
高齢者は一般的に「水分を取るように」と言われているので、自分が言われていることを水分制限のある高齢者にも勧めてしまうケースもあります。
見かけたらすぐに止めに入って、必ず上司に報告してください。
食べ物を持ち帰る
食事の余りを持ち帰る方もおられます。
一般的に通所系のサービスでは昼食+おやつ、施設系のサービスでは3食+おやつを提供します。
「食べきれなかったから」とティッシュなどに包んで自宅や自室に持ち帰られます。
戦後の食糧難の時代を生き抜いてこられ「食べ物を粗末にしてはいけない」と言われて育ってこられました。
そのお気持ちはしっかりと受けとめて尊重すべきですが、保存状態が悪くて食中毒を起こされた場合、ご本人が苦しまれると同時に施設の衛生管理が疑われ、多くの方にご迷惑が掛かります。
取り上げるようなことになって申し訳ないのですが、丁寧に説明をして回収してください。
万一納得されなくても、何らかの機会に回収するか、それも無理な場合は、最低限の対応としてご家族に報告しておくことが必要になります。
見かけたらすぐ止めに入って、必ず上司に報告してください。
まとめ
ご高齢者はご自身の生活習慣が身についておられます。
今までと同じように行動していても、時としてその習慣が自分や他人に被害を及ぼすこともあります。
一方、「尊厳を守る」、「その人らしい生き方のお手伝いをする」という介護の考え方にも沿わなければなりません。
その方の生活習慣やお気持ちを尊重しながら、ご本人、周囲の方、自分自身を守らなければなりません。
表情と言葉で気持ちは共感しながら「施設のルールなので守ってほしい」というスタンスで接するのが良いと思います。
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