下(シモ)のお世話(介護)は大変?(50代、60代の転職)

なつかしい腕木式信号機(国鉄) 介護職の仕事
なつかしい腕木式信号機(国鉄)

介護の仕事というと「下(シモ)のお世話が大変ですね」とよく言われます。

実際に介護に携わると「下(シモ)のお世話はそれほど大変ではない」ことがわかります。

未経験で介護職に入職される方にとっては、入職前から「下(シモ)のお世話」が憂鬱な方もおられます。

「下(シモ)のお世話」が憂鬱に感じておられたら、この記事を読んでみてください。

「下(シモ)のお世話が大変」は、ピントがずれた意見

介護経験のない方からは「汚くて臭いのに大変ですね」など言われますが、介護職はそういう会話には乗っかりにくいようです。

介護の仕事では、下(シモ)のお世話とは比較にならないほど大変なことがあります。

私は「下(シモ)のお世話が大変ですね」といわれると、ピントがずれた意見なので、会話が続けにくいなぁ、と感じます。

不快に感じないのは介護技術があるから

介護職が下(シモ)のお世話を不快に感じないのは、介護技術があるからです。

下(シモ)のお世話をするときは、使い捨てのゴム手袋を使用します。

しっかりとした技術力があれば、自分の肌や衣服に付くことは年に1回もありません。

もし自分の衣服に付けてしまったら、恥ずかしくて同僚には言えないレベルのミスです。

また、匂いがあることは覚悟しているので、不快に感じることはほとんどありません。

下(シモ)のお世話が大変なケースはBPSD※を伴う場合

BPSDに伴う「弄便(ろうべん)※」や「暴言・暴力」などがある場合は、介護職から「大変だ」、「イヤだ」という声を聞くことはあります。

それは「掃除が大変」もしくは「着替えが大変」という意味で「便」そのものを嫌っているわけではありません。

※BPSD:BPSDは「認知症の行動と心理症状」を表わします。

※弄便(ろうべん):認知症の症状のひとつで、おむつの中の便を素手で触ったり、その手で衣服や壁などに便を擦り付けたりする行為のことです。

介護の基本的な理念「自立支援」との関係

介護の基本的な理念は「自立支援」で、その方ができない事をお手伝いする仕事です。

排泄動作がうまくできない方が、排泄するのをお手伝いする(排泄の自立を支援する)、というお仕事の一環です。

介護職にとって「排泄介助」は、「自立支援」を実践する業務のほんの一部です。

介護の基本的な理念「尊厳を守る」との関係

排泄は最もプライベートな行為で、対応を間違えると、その方の尊厳を大きく損ないます。

介護職が「汚い」「臭い」と感じたことが伝わると、要介護者の心はとても傷つきます。

心ある介護職はプロフェッショナルとして「汚い」「臭い」と感じないように心がけています。

世間的にはあまり知られていないかもしれませんが、介護職はそういう崇高なプロ意識を持ち合わせています。

まとめ

介護の仕事に「下(シモ)のお世話」はつきものですが、それは仕事の中のほんの一部です。

介護の基本理念である「自立支援」、「尊厳を守る」とも密接な関係にあります。

はじめて介護の仕事に就く方も、介護の仕事の心ある部分に自らスポットを当てて、ポジティブに受け止めてることができれば幸いです。

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