2000年代中頃の話なので、少し現代とは違うかもしれませんが、介護付き有料老人ホームの施設長時代の経験談を記します。
わたしが赴任していた有料る人ホームは介護付き有料老人ホームでしたが、自立の方から要介護5の方までおられました。
何かにつけ、全員の方にサービスが届くように配慮していました。
特に難しかったのは介護保険外のサービスで、健常の方も要介護5の方にも等しく届くものを日夜求めていました。
年末年始はそれを形にしやすい時期でした。
年忘れ会
スタッフがいろいろと出し物をして入所者に笑って年を越していただこうというイベント企画。
スタッフも楽しんで企画するために、私は毎年スタッフのいいなりで出演していました。
出オチのような格好で寸劇に出演したり、漫才師のコスプレ付きで漫才をしたり、独唱で歌を歌ったり、いろいろやらせてくれました。
入所者の方も喜んでいただいて、最後に三三七拍子で〆ると感激して涙を流される方もありました。
年末年始をみんなで一緒に迎える、という強い印象をお届けできたのではないかと思いました。
お餅つき
お餅つきは結構大変な行事でした。
機材準備、材料買い出し、餅をつく場所・餅を丸める場所の準備、食べるときの調理準備など、準備が大変でした。
入所者とスタッフが共同で餅をついて、餅を丸めました。
餅を丸めるのは、何十年も主婦をされてきた先輩方なので、笑顔で楽しみながら手際よく作業されました。
つく側は、がんばりすぎて腰を痛めないように配慮しながらの進行でした。
車いすの方にも杵を持っていただいて、スタッフの介助で一緒に餅をつきました。
いざ、餅を食べる段階では、万一のどに詰める方が出た場合に迅速に対処できるよう、看護師が機材をもってスタンバイしていました。
とてもリスクの高い行事だったなぁ、と今となっては思う次第ですが、事故無く実行できていました。
施設の正月飾り
ホームセンターで門松、生け花を購入して、餅つき大会でついた鏡餅を飾っていました。
施設の玄関、介護スペースのサンルームにも飾ってお正月が近いことを実感していただけるようにしていました。
買ってきた生け花をそのまま飾っていたのですが「生け方がうまい」「見事な出来栄えだ」と入所者の方から褒めていただいたのは恥ずかしかったです。
初詣の準備
高齢者が等しく参加できる正月行事として初詣ツアーを実施していました。
毎年、3が日の間にできるだけたくさんの方に初詣に行っていただけるよう計画しました。
大型の車が停められ、車いす乗降に十分なスペースがあり、境内に段差がない神社を選んで、下見も欠かさず行っていました。
スタッフの出勤体制は1~2名はドライバーとは別に添乗できるようシフトで配慮していました。
まとめ
高齢者にとって、心が動くことがとても大切です。
年を重ねると大きな刺激は好まなくなりますが、身近な刺激は無いと廊下の進行が早まります。
クリスマスから年末年始にかけて、年間を通じての大きな節目は特に寂しさを感じやすい時期でもあります。
有料老人ホームに集った仲間たちで、一緒に年末年始を過ごしているということが実感できるような演出を心がけてきました。
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