スタッフへの情報発信(従業員満足01)施設長の仕事01

50代,60代にはなつかしい昭和の特急_まつかぜ(国鉄) 施設長の仕事
50代,60代にはなつかしい昭和の特急_まつかぜ(国鉄)

50代、60代の実年世代で定年退職や早期退職などで介護業界に転職し、管理職を目指される方に向けて「老人ホーム施設長(ホーム長)の仕事」をいくつかの記事に分けて解説いたします。

施設長(ホーム長)の役割は、成果を出すための組織作り、ということに集約されます。

この役割を果たすために、施設長(ホーム長)が重視すべき課題がいくつかあります。

大きく分けるとその対象は、顧客満足、従業員満足、経営満足、の3点です。

利用者を大切にする、スタッフの力を最大限引き出す、経営改善に寄与する、などの施策を繰り返すことになります。

なお、この記事では「老人ホーム」という一般的な呼称で「介護付き有料老人ホーム」、「住宅型有料老人ホーム」、「サービス付き高齢者向け住宅」、「特別養護老人ホーム」を含むものとします。

それぞれの業態に共通する事項を扱うようにいたしますが、一部の業態や役割分担によっては対象外になることもあるかもしれませんので、あらかじめご了承をお願いいたします。

ここでは、スタッフの力を最大限に引き出すための情報発信について触れます。

スタッフに情報を発信する

スタッフの仕事の成果がすべてその部門の成果となします。

管理職の立場から見れば、スタッフが前向きにやる気をもって取り組んでいてこそ、部門の成果が上がると言えます。

特に介護業界では、人と人が接すること、接した相手に残った感情が付加価値になります。

相手に良い感情を残すためには、スタッフもポジティブに仕事に取り組んでいることが大前提となります。

スタッフのやる気次第で、生産性が高く、質の高い付加価値を提供することができます。

本来、管理職の仕事は良質の仕事をする組織を作ることなので、スタッフがポジティブに働ける環境を作り出すことが、目標への近道と言えます。

また、一般の介護職員から見れば、施設長は雲の上の人です。

施設長の人となりが施設の方向性を決めるので、一般職員は施設長を観察しています。

観察いうよりは、常にスタッフから評価されているというイメージです。

油断せずにスタッフに目を向ける姿勢を示してください。

ビジョンを示す

基本的な介護保険の理念である、尊厳の保持、自立支援、があります。

この理念のもとにそれぞれの会社(法人)の経営理念が定められています。

これらの理念にコンプライアンスを加えた基本方針をしっかりと守ることを宣言します。


そのうえで、我々の想いを込めて事業を継続するためには稼働率の維持・向上が必要であることを付け加えます。


現状を肯定したうえで、さらにケアの質の向上を目指すことで、稼働率の維持・向上についてはスタッフの腹落ちも必要です。

チャレンジ精神をもって新規利用者を獲得していかなければ、稼働率は下落の一途をたどります。
スタッフに誤解されると「金儲け主義」と言われてしまいます。

そういう思いがまん延すると、勤労意欲の低下、ケアの質の低下につながります。

向上心なく、低質のケアを提供し続けても平気な組織ができ上がります。

稼働率の維持向上は、ご利用者様の為であり、スタッフの為である、ひいては地域の為でもある、と公益性を強調して説明しています。

稼働率維持・向上の必要性を説く

別記事でも触れましたが、介護施設の経営成果は稼働率のみに起因する、と言えます。

稼働率の維持向上ができていれば、経営が悪化することはまずありません。

稼働率の向上のためにはスタッフの献身的な協力も必要になります。

スタッフに浸透するようじっくり時間をかけて説明します。

たとえば、このように話します。

手取り収入が20%減った場合の生活を想像してみてください。

家賃、光熱費など、固定的な費用があるので節約にも限度があって生活は困窮すると思います。

施設も同じことで、固定的な経費もあるので稼働率が下がると運営できなくなります。

いまこれは大きな社会問題になりつつあります。

少し収入が減ったけどがんばってやっていこう、と思える範囲はわずか数パーセントで、基本は稼働率100%で運営が成り立つように計算されていることをまずご理解ください。

逆に、稼働率を高位で保っていれば、施設の運営は安定し、給与や賞与で分配もできます。

また、ケアの質の良しあしと稼働率の高低は相関関係にあります。

ケアの質の良い施設は稼働率も良い、稼働率の良い施設はケアの質も良い、この逆もしかりです。

ケアの質の向上にこだわるとともに、稼働率の維持向上にもこだわりましょう。

というようなストーリーで説明します。

聞いた話ですが、サービス残業は当たり前、休日は経営者の私用で駆り出されるなど、金儲け主義で独善的な経営者に踏みつけられてきたスタッフもいました。

このように介護職の中には、過去に金儲け主義の施設でつらい経験をした方もあり、稼働率アレルギーの方もいます。

一方、ケアの質の向上は、介護職が共有している課題です。

稼働率の向上はケアの質の向上につながる、というストーリーがスタッフにとって腹落ちしやすくなります。

介護施設は口コミで広がった話で大きな誤解につながるケースもあるので、丁寧なコミュニケーションを心がけましょう。

まとめ

介護職の価値観と経営の価値観が結びついていることを繰り返し丁寧に説明します。

介護職は、基本的にまじめで、やさしくい心の持ち主が多いのも特徴です。

施設長(ホーム長)の能動的な情報発信を受けて、スタッフの勤労意欲が高まれば、施設として大きな成果を出すことができます。

誤解や噂を放置せず、しっかりと正しい情報を発信するように心がけてください。

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