50代、60代の実年世代で定年退職や早期退職などで介護業界に転職し、管理職を目指される方に向けて「老人ホーム施設長(ホーム長)の仕事」をいくつかの記事に分けて解説いたします。
施設長(ホーム長)の役割は、成果を出すための組織作り、ということに集約されます。
この役割を果たすために、施設長(ホーム長)が重視すべき課題がいくつかあります。
大きく分けるとその対象は、顧客満足、従業員満足、経営満足、の3点です。
利用者を大切にする、スタッフの力を最大限引き出す、経営改善に寄与する、などの施策を繰り返すことになります。
なお、この記事では「老人ホーム」という一般的な呼称で「介護付き有料老人ホーム」、「住宅型有料老人ホーム」、「サービス付き高齢者向け住宅」、「特別養護老人ホーム」を含むものとします。
それぞれの業態に共通する事項を扱うようにいたしますが、一部の業態や役割分担によっては対象外になることもあるかもしれませんので、あらかじめご了承をお願いいたします。
ここでは、スタッフの力を最大限に引き出すための情報収集について触れます。
情報収集の目的
スタッフの仕事の成果がすべてその部門の成果となします。
管理職の立場から見れば、スタッフが前向きにやる気をもって取り組んでいてこそ、部門の成果が上がると言えます。
特に介護業界では、人と人が接すること、接した相手に残った感情が付加価値になります。
相手に良い感情を残すためには、スタッフもポジティブに仕事に取り組んでいることが大前提となります。
スタッフのやる気次第で、生産性が高く、質の高い付加価値を提供することができます。
本来、管理職の仕事は良質の仕事をする組織を作ることなので、スタッフがポジティブに働ける環境を作り出すことが、目標への近道と言えます。
ここではスタッフの情報収集について触れます。
スタッフのことに興味を持っています、という姿勢を示すことが大切です。
履歴書を見る
管理職であればスタッフの履歴書を見ることができると思います。
個人情報なので目的をもって見るポイントを絞って見ます。
スタッフの経歴を中心に確認します。
最終学歴は、福祉系学校、一般の学校、デザインなど専門の学校など、どのようになっているか。
職務経歴も介護の業界に入った時期や他施設の就業経験などを見ておきます。
履歴書とは別に、保資格の一覧表や過去の面談シートなどあれば目を通しておいてください。
スタッフの話を聴く
話を聴くことがとても大切です。
できればスタッフ全員と、全員が無理であれば、管理監督職と1対1で公平に時間を取って面談をします。
こちらから聴いても良いことは採用面接の基準に沿っておくほうが無難です。
スタッフから話し始めた話題に沿って話を進めます。
職場環境なのか、人間関係なのか、個人的なことか、相手が一番気になっていることを話す機会になります。
その場で解決できなくても、話を聴く姿勢を見せることで、期待感、求心力につなげる効果があります。
聞いた話の中で、すぐに対処できること、時間がかかること、解決できないことがあると思います。
数日内に小さなことでも解決してあげると心の支えになります。
また、個別に話を聴くことで、個々の人間としての距離感を縮める狙いもあります。
話しやすい、風通しの良い職場づくりにつながります。
初回は顔あわせて程度で、10分前後で時間も公平に割り振っておきましょう。
現場に顔を出す
何か気になることがあれば声をかけて聞きやすい環境づくりも大切です。
介護業界は交代制勤務で全員が顔を合わせる機会が少ないこと、申し送りで状況を把握する慣習があることから、口伝で情報が伝わる特性があります。
管理側ではまだ何も決めていないことが決定事項のように伝わっていたり、制度変更などがあると意図とは違うネガティブな情報が伝わりやすくなります。
風通しの良い職場になるよう、できるだけ現場に出て、スタッフと毎日のように顔を合わせましょう。
まとめ
介護スタッフは個々に生育環境、生活環境も異なり、個々に悩みや問題を抱えています。
施設長(ホーム長)が主体的にスタッフの悩みを聞いてくれることで、スタッフの勤労意欲が高まれば、施設として大きな成果を出すことができます。
スタッフ全体のニーズに応えるとともに、個々のニーズにもできるだけ応えていきたいところです。
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