50代、60代の実年世代で定年退職や早期退職などで介護業界に転職し、管理職を目指される方に向けて「老人ホーム施設長(ホーム長)の仕事」をいくつかの記事に分けて解説いたします。
施設長(ホーム長)の役割は、成果を出すための組織作り、ということに集約されます。
この役割を果たすために、施設長(ホーム長)が重視すべき課題がいくつかあります。
大きく分けるとその対象は、顧客満足、従業員満足、経営満足、の3点です。
利用者を大切にする、スタッフの力を最大限引き出す、経営改善に寄与する、などの施策を繰り返すことになります。
なお、この記事では「老人ホーム」という一般的な呼称で「介護付き有料老人ホーム」、「住宅型有料老人ホーム」、「サービス付き高齢者向け住宅」、「特別養護老人ホーム」を含むものとします。
それぞれの業態に共通する事項を扱うようにいたしますが、一部の業態や役割分担によっては対象外になることもあるかもしれませんので、あらかじめご了承をお願いいたします。
ここでは、経営改善に寄与する施策として従業員の確保(多様な働き方に対応)について触れます。
平日の昼だけの勤務
子育て中の方など、平日の昼間だけ働きたい方には、入浴専任担当という働き方があります。
入居施設では、朝食後1時間以上時間あけて9:30~10:00から約2時間、午後は1:30~2:00ころから訳2時間、入浴が始まります。
この時間帯に入浴専任で来ていただきます。
日勤だけの勤務
もう少し大きなお子様を育てておられる場合、日勤のみ勤務希望という方の応募があります。
そのような方には、朝食か夕食の時間帯を含む時間帯で勤務いただけたら助かります。
一日の中で食事はほぼ一斉に開始となりますので、食事時間の前後に、食事準備、食事介助、服薬介助、排泄介助、居室誘導、あと片付け、などの業務が集中します。
朝食の開始時間から、もしくは、夕食の終了時間まで、の時間帯での勤務で調整します。
地域の事情で同じ時間帯の就業希望者が多い場合は、就業者が確保できる時間帯に食事時間を合わせる方法もあります。
食事介助が必要な利用者の食事時間をずらすこともあります。
同じ時間帯の就業希望者が多ければ、その層に特化した募集活動も有効です。
いずれにしても、人材の確保ができる範囲で微調整することも視野に入れて対応します。
ダブルワーク
さまざまな事情で、複数の職場で就業する方もあります。
本業は事務職であったり、介護職であったり、まちまちです。
勤務する曜日が固定できれば良いのですが、できなければ、もう一つの職場のシフト希望の締め切り時期に注意して、こちらのシフトを組む必要があります。
下記にも記しますが、注意事項がありますので採用を躊躇されるケースもあるようですが、人材確保が最優先課題でありますので、積極的に採用したいところです。
<注意事項>
副業収入で20万円/年を超えると確定申告が必要です。
労働条件によっては副業でも社会保険の加入義務が生じます。
8時間/日以内、40時間/週以内、労働基準法が適用されますので、ダブルワークでも2車を合わせてこれを超えると、後の会社での労働は時間外労働に該当し、時間外勤務手当の支払い義務が生じます。
<参考>
副業・兼業の促進に関するガイドライン 厚生労働省HPより
夜勤だけの勤務
勤務時間数に比べて収入が多くなるのと、生活リズムが整えやすいのでので、夜勤専任という働き方を選んでいる方もいます。
ダブルワークの方も多いので、他職場との関係で業務に支障がないかどうかの事前確認が欠かせません。
私の経験では、安定的に働いていただいた事例のほうが圧倒的に多いのですが、休みがちになり、早期で退職されたケースもありました。
日中どこかでしっかり働いて、ダブルワークで夜勤を希望されるケースもありましたが、事故のもとでもあり、採用を見合わせました。
無理の無い働きかたに配慮が必要です。
派遣という働き方
正規雇用、パート、アルバイトなどの直接雇用とは別に、派遣社員として働く働き方もあります。
雇用が安定しない反面、介護業界では直接雇用よりも給与が高くなるケースがあります。
フルタイムで働く方から、時間制限、曜日制限など、制限をもって働く方もあります。
しっかりとした考え方、責任感、技術力を持った人も多く、安定感もあります。
組織に属さない傾向が一般的な介護職よりもさらに強いので、こちらが居てほしいのに転身されてしまうケースもあります。
逆に職場が気に入れば、直接雇用に切り替えて長きにわたって活躍してくださる人もいます。
施設とのマッチングを図る意味も兼ねて、重用できる制度です。
まとめ
介護業界は、高齢者(利用者=顧客)は増加、介護人材(従業員)は不足、という流れで、介護施設の稼働率を左右するのも介護職の確保の成否にかかっています。
実際に介護の仕事をして介護職として労働契約を結んでいる範囲においては、人員配置基準にも参入できます。
多様な働き方を望む応募者を広く募集することでもきめ細かく希望に添えるように対応することで、人材の補充ができます。
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