地域包括ケアシステム(経営満足08)施設長の仕事16

施設長の仕事
雪積る山道(日光周辺)

50代、60代の実年世代で定年退職や早期退職などで介護業界に転職し、管理職を目指される方に向けて「老人ホーム施設長(ホーム長)の仕事」をいくつかの記事に分けて解説いたします。

施設長(ホーム長)の役割は、成果を出すための組織作り、ということに集約されます。

この役割を果たすために、施設長(ホーム長)が重視すべき課題がいくつかあります。

大きく分けるとその対象は、顧客満足、従業員満足、経営満足、の3点です。

利用者を大切にする、スタッフの力を最大限引き出す、経営改善に寄与する、などの施策を繰り返すことになります。

なお、この記事では「老人ホーム」という一般的な呼称で「介護付き有料老人ホーム」、「住宅型有料老人ホーム」、「サービス付き高齢者向け住宅」、「特別養護老人ホーム」を含むものとします。

それぞれの業態に共通する事項を扱うようにいたしますが、一部の業態や役割分担によっては対象外になることもあるかもしれませんので、あらかじめご了承をお願いいたします。

ここでは、地域包括ケアシステムについて触れます。

地域包括ケアシステム

厚生労働省においては、2025年(令和7年)を目途に、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築を推進しています。


 団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を実現していきます。

 今後、認知症高齢者の増加が見込まれることから、認知症高齢者の地域での生活を支えるためにも、地域包括ケアシステムの構築が重要です。

人口が横ばいで75歳以上人口が急増する大都市部、75歳以上人口の増加は緩やかだが人口は減少する町村部等、高齢化の進展状況には大きな地域差が生じています。

地域包括ケアシステムは、保険者である市町村や都道府県が、地域の自主性や主体性に基づき、地域の特性に応じて作り上げていくことが必要です。

地域包括ケアシステム 厚生労働省HPより引用

地域包括ケアシステムにおける位置づけ

地域包括ケアには、住まい、生活支援、介護予防、介護、医療などの要素があります。

介護事業者は介護にメインで携わりますが、生活支援、介護予防活動もサポートします。

また、入所(入居)施設では住まいも提供することになります。

このように、地域包括支援システムの中で重要な役割を担うのが介護事業者です。

さらに介護事業者は、要介護者周辺の家族や友人、近隣住民、ボランティアなど、非専門職による非公式な援助(インフォーマルサポート)との連携も視野に入れます。

地域包括ケアシステムの説明図の中で自らが担当する介護保険事業の位置づけを確認してください。

地域包括ケアシステムの構築

地域ケア会議への出席などを通じて地域包括ケアシステムの構築には積極的な参画が期待されます。

介護事業者は公共的な要素が強い地域の社会資源です。

運営母体が株式会社であっても、地域にあって地域包括システムにおける役割を果たしていることが、株主の利益に直結します。

歴史のある施設であればすでにその役割を担っていることと思われますが、その役割をさらに深化させることが施設長、管理職の任務となります。

また、新規開設した施設であれば、イチから地域における役割を担うために、地域ケア会議に飛び込んで地域包括ケアシステムの中で一翼を担うことが施設長、管理職の任務です。

介護保険の理念の再確認

介護保険法では「要介護者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保険給付を行う」、「保険給付は要介護状態等の軽減または悪化の防止に資するよう行われなければならない」と定められています。

保険給付は、被保険者の選択に基づき行われるものですが、要支援者・要介護者の自立支援という理念に沿って提供されるものです。

まとめ

介護サービスは、介護保険法に基づいて提供されます。

その介護保険の給付を受ける介護事業者は、地域包括ケアシステムの担い手でもあります。

地域における役割、位置づけを認識し、システムの構築にも寄与することがその役割です。

いつまで自宅で過ごせるのだろう、介護生活をサポートしてもらえるのだろうか、そのような地域の不安に応え、地域から存在が頼もしく感じてもらえるような施設でありたいものです。

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