高齢社会白書に気になるデータがありましたので紹介します。
数的思考力、読解力が年齢とともに衰えているという調査結果が示されています。
数的思考力、読解力とは「国際成人力調査」の中の項目で、OECD(経済協力開発機構)が中心となって実施する国際比較調査の一つです。
数的思考力とは
数的な情報や内容を用いて論理的に考える力
(例)
商品の成分表示を見て、許容摂取量を答える
作成中の伝票を見て、商品の売上金額を答える
参考 国際成人力調査 文部科学省HPより
数的思考力と年齢の関係
図を見ると明らかですが、20代後半から30代後半にかけてピークを迎え、数的思考力は年齢とともに衰えます。
それでもOECD平均より上回っていることが救いです。
この数的思考力では、日本の60代前半はOECD平均の10代後半を上回っています。
参考 令和3年度高齢社会白書 内閣府HPより
数的思考力の衰えを実感
私の実感もおおむねこのような感じです。
30才前後のころは論理の組み立ても早く、プログラミングも手掛けていました。
50代前半のころ、転勤で人事総務職に就きましたが、論理の組み立てが若い人に追い付かないと実感しました。
新人事政策について若手の人からレクチャーを受けても、理解に時間がかかりました。
「大丈夫ですか?理解できましたか?」といたわられた経験があります。
それまでは「若い者には負けない」という気概もありましたが、限界を感じた時期でもありました。
自分が所属組織で大勢の方に新人事制度を説明する側に立つと、これまでの私の実績、人となり、人間関係、心遣いなどをおりまぜて理解を得ることができました。
ここは若い人にはない「年の功」が仕事の成果に結びついた事例ですが、野球で例えると「三振が取れなくなった」ような感覚になりました。
読解力とは
文章や図表を理解し、評価し、活用する力
(例)
ホテルにある電話のかけ方の説明を読んで、指定された相手に電話をかけるにはどのように操作したらよいかを考える
図書館の蔵書検索システムを使って、指定された条件に合う本を選ぶ
参考 国際成人力調査 文部科学省HPより
読解力と年齢の関係
図を見ると明らかですが、20代後半から30代後半にかけてピークを迎え、読解力も年齢とともに衰えます。
数的思考力と比較すると、加齢による衰えが急激であることが特徴的です。
ピークから衰えて10代後半を下回るのが、数的思考力では60代前半ですが、読解力は50代前半で下回り、さらに下落が続きます。
参考 令和3年度高齢社会白書 内閣府HPより
読解力の衰えを実感
私も読解力の衰えを実感した時期がありました。
おりしも私が40代後半を迎えたころ、社内メールが激増しました。
なんでもメールで連絡が来るので、便利になったと言えば便利になったのですが、受け手にはメール1本で連絡済にされる恐ろしさもありました。
当初はすべてのメールに目を通していましたが、読解力の衰えもあいまってか、メールの処理が追い付かなくなりました。
時折、知らない話が進んでいて、慌ててメールを見返して状況が理解できるということもありました。
当時のビジネス系雑誌でも社内メールの激増が取り上げられ、社会問題化しはじめました。
これらの記事を例として挙げて「処理が追い付かない」ことを正当化しました。
その時点では気づかなかったのですが、今思えば、自分自身の衰えもあったかもしれません。
この事態も「年の功」からくる口先三寸(本人はそういうつもりはなかった)で乗り切りました。
野球に例えると、ストレートの球威が落ちているのに、チェンジアップとの緩急の差でストレートの衰えに気づいていませんでした。
まとめ
思考面の能力の衰えをグラフで見ると、あらためて思うところがあります。
これまでビジネスに影響が出始めたころには衰えに気づいていなかったのです。
50代、60代は、純粋な能力では若い人には及ばないものの「年の功」で乗り切ってしまうこともままあります。
大きな事態に遭遇して初めて「衰えたかな?」と疑問的な気づきがあります。
他の職種では有効に使いきれない「年の功」も、介護の仕事では良質なサービスにつながります。
私はこのブログを通じて50代、60代の方に介護の仕事に転職されることをお勧めしています。
新しいことが覚えられない、新しい環境になじめないという状況に後になるほど、長く悩まされます。
どうか、早めの転職も視野にご検討いただけたらと思います。
コメント