実年世代のみなさんはビジネス名言もよくご存じのことと存じます。
今回は、山本五十六氏の名言での教育事例を紹介します。
「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」
この名言はリーダー以上の管理・監督職の教育に使用しました。
やってみせ
やってほしいことをまずリーダーがやってみせる。
介護の現場では介護技術的な指導、認知症の方の対応指導、言葉づかいや態度にかんする指導が多いと思います。
まず、自分が手本を示すこと、自分ができるようになることが前提なので、自己研鑽も怠らないように指導します。
リーダー自身が分からないことは、調べるなり聞くなりして必ず解決しておく。
言って聞かせて
介護職員に何を求めているのか、やるべきこと、を伝えます。
また、なぜそうしなければならないのか、その理由を正確に理解させます。
例えば言葉づかいの問題であれば、言葉づかいの乱れは虐待の芽とされているので、言葉づかいの乱れを放置するといずれ虐待につながる。
だから言葉づかいの乱れは放置できないということをしっかりと伝える。
させてみせ
上司にとってはリスクになりますが、実際にやらせてみる必要があります。
最初は一緒について見ているほうが無難ですが、頃合いを見てひとり立ちさせます。
こうして介護職ができるようになれば、指示やチェックの手間が省けて、リーダー自身も楽になることを付け加えます。
ほめてやらねば
これはフィードバックです。
できたことを「できた」と評価していることを伝えます。
そうすることで介護職員はできたことを繰り返し反復する自信が芽生えます。
できないことを「叱る」ことよりも、できたことを「ほめる」ほうが相手にプラスの感情に発展して、やる気につながります。
人は動かじ
私はこの最後のフレーズも自分なりの理解をしっかりと説明しました。
よく言われるのが「私(リーダー)のレベルで指導してもダメだから、もっと上の人(施設長)から指導してほしい」という意見です。
そんな意見に対して、昔の軍隊はトップダウンで上司の指示命令に絶対服従の体制が出来上がっており、山本五十六氏は海軍元帥という最高位におられた。
超トップダウン体質の海軍元帥でさえ、ほめないと人は動かない、と言われている。
どんな立場でも人を動かすのは難しい。
だから今できなくても、できないと言って自信を失う必要はない。
海軍トップが部下の教育で悩まれて、後進の我々のためにそのノウハウを残してくださっている。
介護の仕事は一人で完結できないから、リーダーの想いをくんで動いてくれるスタッフを養成してケアの質を高めていきましょう。
まとめ
ビジネス名言は介護現場にも通じるものがあります。
介護現場の管理監督職の一般的な人物像は、まじめ、一生懸命、世間ずれしていない、よく働く、という感じの人物で、好きで介護の仕事に就いているので「ケアの質の向上」には自分のチームをしっかりとまとめて前向きに取り組みたいという熱意があります。
しかしながら、「利益の追求」や「付加価値の創造」は、頭では理解するのですが、心に響きません。
ビジネス名言は、「ケアの質の向上」のために必要なこと、として教えるよう少し手を加えていました。
異業種からの参入を考えておられる実年世代のみなさまは、ビジネス名言に介護職場向けの解説を加えて教育訓練するとこれまでのノウハウも生かせると考えご紹介しました。
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